雷龍
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投稿遅れてしまい申し訳けございません(T_T)
魔族領北にある極寒の地のダンジョン。
トオルと光龍が巨大トロールと戦っていた頃、そこには元々ダンジョンがあったとは思え無いような光景が広がっていた。
氷に包まれていた大地に巨大なクレーターが出来、クレーターの回りには何本もの亀裂が走っている。
中心部には、細長いまるで蛇に手足を付けた様な巨大な存在が浮かんでいた。
雷龍である。
その姿はまるで日本の龍を彷彿させ、左手には宝珠を持っている。
如意宝珠と呼ばれるその宝珠、他の3体の神龍は己の体内に持つが、この雷龍は敢えて左手に持つ。
神龍の力の源であり、また弱点でもある如意宝珠をわざわざ手に持つ理由……
弱点を敢えて晒す事による戒め、と言う者もいれば、体内から出す事で宝珠の力を最大限に引き出せると言う者もいる。
しかしその真相は謎のままだ。
「強敵だったわね……まさかこの私が奥の手を使う事になるなんて……」
どうやらこの巨大クレーターは雷龍が作った様だ。
「ここは何処かしら? 突然転移させられちゃったし……邪神の残滓……ウザイわね」
雷龍がそんな事を考えていると
パチパチパチ
どこからともなく拍手の音がする。
拍手のする方に目をやると……
地上から一体の悪魔が雷龍を見上げていた。
「流石神の名を冠する龍ね! こんなに簡単にダンジョンを壊しちゃうなんて」
マモルが召喚した悪魔の内の一体、オノクリスだ!
「貴方…………まさか……悪魔!! 反逆者がこんなところで何を!」
オノクリスは肩をすくめ
「反逆者って失礼ね、私達はあの創造主が許せないだけ! 貴方達神龍ならその気持ち……分かるんじゃない?」
…………
何も答えない雷龍……
「まあいいわ、今日はそんな事言いに来た訳じゃないの。貴方にお願いがあって……聞いてくれる?」
願い? 雷龍は困惑する。
「あのね、私の召喚主……可愛くてね〜、物凄く強いんだけど中身は子供なの、多分まだ12、3歳じゃないかしら? もうね〜私母親の気分なのよ! だからね、その子を楽しませたいの! 分かる?」
悪魔が母親気分? 笑わせるが、この悪魔がここに居るって事は、誰かが召喚したのであろう。
悪魔を召喚し、ここまで使役出来た者は過去に無い……
500年前の邪神でさえ召喚自体に失敗している。
その悪魔を召喚、使役出来る程の存在……
雷龍に冷や汗が流れる。
「新たに生まれた邪神の事?」
オノクリスはパッと顔を綻ばせ
「正解! でね、貴方に一役かって貰いたいの! 私に呪われてくれない?」
瞬間、バチッと小さなスパーク音の後
ドーーーーーーーーン!!!
1億ボルトの壮絶なパワーに雷龍の魔力を乗せた、恐るべき威力の稲妻がオノクリスを襲う。
秒速10万キロのスピードを誇るその攻撃から逃れる術はない。
だが……
「あら……いきなりご挨拶ね」
雷龍の目の前に浮かぶオノクリス。
攻撃が当たる直前転移したのだ!
苦虫を噛み潰したような表情になる雷龍……
オノクリスは溜息をつき
「貴方の攻撃が私に当たる訳ないじゃない! 元々の格が違うのは……知っているでしょ?」
「くっ!」
項垂れる雷龍をニヤリと見つめるオノクリス。
この雷龍の心を折るのもオノクリスの作戦の一部だったのだ!
幾ら神龍より元天使である悪魔が格が上だとしても、万全な状態の神龍に呪いを掛けるのは至難の業だ。
残滓が残したダンジョンのボスをも利用し、疲弊させた上でその心までも折る。
悪魔ならではの所業……
オノクリスは雷龍の持つ宝珠まで転移をすると、その宝珠に手を添えた!
し、しまった!!
通常ならば例え転移だとしても、宝珠に触れさせる事など絶対にさせない!
ダンジョンのボスとの戦いでの疲弊、この悪魔による揺さぶり、雷龍は隙を作ってしまった!
美しく乳白色に輝いていた、如意宝珠がみるみるどす黒く変色していく!
「くっ! わ、私をどうする気……」
「どうもしないわよ! ただ遊びに付き合って欲しいだけ、上手くすれば死ぬ事は無いかも? それもこれから来る勇者と魔王次第だけどね」
「勇者……魔王……」
呟くと雷龍の意識が途絶えた。
マモルの元に転移するオノクリス。
「どうだった?」
「上手くいきましたよ。見たもの全て敵に見える呪いを掛けました。後は勇者と魔王が来るのを待つだけですわ!」
マモルとオノクリスの前には巨大なスクリーンが用意されている。
スクリーンには呪いを受け、意識を無くした雷龍が、その巨大を横にし倒れている姿が映し出されていた。
「へ〜、その呪いって解けたりするの?」
「はい! あまりに強力な呪いだとつまらないですからね、神龍のHPをギリギリまで削れば呪いは解けます。 けど難しいんじゃないかしら? 勇者と魔王の強さ次第ですが、強過ぎる攻撃だと神龍を殺しちゃってお仲間に出来ないし、神龍相手に手加減すれば逆に殺られちゃいますからね! そもそも、今回の勇者と魔王が神龍にダメージを負わせるだけの実力があるのかも疑問ですが……500年前の勇者と魔王クラスでしたら神龍の攻撃で瞬殺かも?」
「なるほど! そこそこ強い人達だったら良いなあ〜! それで闇の方はどうなの?」
「其方も問題なく。雷龍に殺されちゃったら出番はないですが……」
「だね! 頑張って勇者と魔王を応援するよ!」
もうすぐ……その画面にマモルが追い求めた2人の姿が映し出される。




