新たな加護
ブクマありがとうございますm(_ _)m
次回から少し投稿遅れます。
申し訳ございません(T_T)
「ご、ごほん!」
咳払いの音にパッと顔を上げ回りを見渡すケンヤとミコト。
皆が此方を凝視している……
お互いが抱きしめあっている事に改めて気付いた2人は……
「あっ!」
「きゃっ!」
真っ赤になって距離を取る。
咳払いをしたオズマに向かいシルが
「あ〜あ! なんて無粋なのかしら!」
フロストドラゴンもシルに同調し
「シルちゃん、だよね〜! この人なんなの! 氷漬けにしちゃう?」
物騒な事を宣う。
「い、いや……フロストドラゴンよ……氷漬けは流石にまずいでござる……」
アバロンの言葉に全力で首を縦に振るトオルとサラ。
フロストドラゴンを相手に気楽な対応をする人族達を呆然と見つめる魔族達……
魔族の中でオズマだけは氷漬けにすると言われガタガタ震えているが……
そのオズマがアバロンに気付く
「お、お前……魔人か!?」
ま、魔人!!
既に魔人は敵では無いと分かってはいるが……、幼い頃から魔人イコール邪神側と刷り込まれて来た魔族達だ!
思わず臨戦態勢に入る!
その様子にトオルとサラはアバロンの前に出る!
「「アバロンさんは敵じゃないよ!!」」
まだ幼い冒険者風の子供達が魔人を庇う姿に困惑する。
するとミコトの凛とした声が響く。
「皆さん! 魔人は敵では無いと知っているでしょう! 控えて下さい!」
何時ものミコトらしくない諌める様な声に、魔族達はその場に膝まづいた。
「ま、魔王様、申し訳ございません! つい身体が反応してしまいました。其方の魔人の方、失礼致しました」
代表してマリアがアバロンに謝罪をする。
「大丈夫でござるよ! 魔族の方々も我々魔人族がかつて邪神に操られていただけと、理解しておられるのでござるな!」
カシム、マリア、オズマはアバロンに頷く。
その緊迫した空気の中、ケンヤの気の抜けた声がダンジョン内に響いた。
「ミコト……お前、魔王なの?」
「はい……なんか成り行きで……」
ま、マジかよ……
じゃあ俺……ミコトに会う為に一生懸命急いでここまで来たって事?
49のオッサンが15の女の子と出会う為に!?
そ、それ……傍目にはめっちゃヤバい奴じゃね?
ケンヤはその場で悶絶し始める!
ミコトはケンヤのその様子にキョトンとし首をかしげる。
その仕草が『カワイイ!!』と思ってしまう自分に更に悶絶してしまう……
ケンヤの心情を知ってか知らずか、シルが追い討ちを掛けてくる。
「ケンヤ……大丈夫よ! ロリコンにはならないと思う……多分……見た目だけは……」
ずーーーーん!
落ち込んむ俺……
「ケラケラ」
シルさん……君……食事抜きね!!
「あの〜……」
その声に気力を振り絞り立ち上がると、ミコトがシルと俺を見て
「その子……精霊さんですか? なんかケンヤさんと凄く仲良さそうなんですが……もしかして……」
「そうよ〜! では自己紹介いっきまーす! あったしが〜、超カリスマ! スーパーウルトラ超絶可愛い、森と風の大精霊シルウェストレよ! シルって呼んでね! ビシっ」
パチパチパチ
フロストドラゴンの乾いた拍手の音が……
トオルとサラも……拍手しなくてよろしい!
「って事はケンヤさんって……」
ミコトだけでなく、魔族達3人もシルに視線を向ける。
「うん! そうよ! 人族の勇者だね! グッ」
「「「ゆ、勇者!!!」」」
魔族達から驚愕の叫び声が上がる。
「な、なら私がダンジョンに入って何故か急がなきゃって感じてたのは……ケンヤさんに出会う為……」
そう言ってまた頬を赤らめるミコト。
その姿にグッとくるケンヤ。
お互いに見つめ合い……そして……
「ご、ごほん!」
ハッとし我にかえるケンヤとミコト。
「チッ!」
フロストドラゴンが舌打ちをしながらオズマを睨む……
「えっと、ここで何時までも居るのも……外に出ない?」
ちょっといたたまれなくなり、話しを変えるケンヤ。
ミコトも頷き
「ですね! じゃあ魔族領に来て下さいますか? 私達が人族領側に行くのは……、私一応魔王なんであんまり長く魔族領離れなれないから……」
ケンヤはトオル達に伺うと
「俺達は全然大丈夫ですよ! ってか元々魔族領に行く予定だったし」
トオルが応えるとサラとアバロンも了承の様だ。
ミコトも魔族達に
「じゃあ一旦戻りましょ、マリアさん、カシムさん、オズマさん良いですか?」
まだ混乱中の魔族達だがミコトがそう言うのだ! 反対はしない。
その時!
「ちょっと待って〜!!」
フロストドラゴンが焦りながら叫んでいる。
「わたしを置いてかないでよ〜!! このサイズじゃここから出れないの!!」
神龍が涙目に……
フロストドラゴンは俺達を見渡すと……
「あらっ! すっご〜い! 全然気が付かなったけど、わたしとめっちゃ相性の良い子がいるじゃない! アナタ……サラちゃんだったよね? わたしと仲良しにならない?」
サラはキョトンとし
「えっと……仲良しって事は私とお友達になるって事?」
「うんうん! お友達〜! ダメ?」
「うん! いいよ! お友達になろっ! じゃあこれからはフロちゃんって呼んでいい?」
「ヤッフィ〜イ! サラちゃんヨロシクね!」
そう言うとフロストドラゴンはその身体が一瞬で無数の氷の結晶に変化し、サラの身体の回りに集まるとスっとサラの体内に吸収される様に消えて行った!
焦る! ケンヤは焦る!
「さ、サラ!! 大丈夫か!」
ま、まさかフロストドラゴンに取り込まれたのでは……冷や汗をかく。
トオルとアバロンもサラに異常がないか確かめる。
するとサラの左手の中指に白縹色の美しい宝石を宿した指輪が!
その指輪から声がする。
「やっだあ〜! 皆心配しすぎ〜ケラケラ! サラちゃんとお友達になったから、サラちゃんはわたしを取り込める様になったのよん。そうね〜、ケンヤちゃんとシルちゃんの関係みたいな感じ〜」
脱力するケンヤ達……
それならそうと先に説明してくれ……
「け、ケンヤさん……」
サラが不安そうにケンヤを見る。
や、やはり何か異常が!!
ケンヤはサラの左手にある指輪を睨む!
「す、凄いんです! 力が……魔力が数倍にも膨れ上がった感じがして……、こ、これなら私ケンヤさんの役に立てるかも!」
「でしょう〜! この力はサラちゃんの物よ! 凄いでしょう!」
た、確かに凄い!
魔力をあまり感じない戦士職のケンヤだが、サラの魔力が凄い事になっているのは、なんとなくだが分かる。
「なんにせよ、邪神云々の前にサラが強くなったのは……良しとするか……」
元来のお気楽気質を発動させるケンヤ。
それを苦笑いで聞くトオルとアバロン。
ただ……魔族達は今起きた光景にド肝を抜かれていた。
(((し、神龍の力を取り込んだだと!!!)))
魔力に敏感な魔族達、まだ子供だが人族の魔術師にしてはそこそこの魔力量! とサラの事を観察していたのだが……
今は……魔王様に匹敵する程の魔力を感じる!!
勇者パーティとはこれ程の潜在能力を持つのか!
なんだかんだと今まで人族を下に見ていた魔族達だが……
今この瞬間、自分達の価値観が間違っていたと気付く。
…………ケンヤに鍛えられたトオルとサラが異常なだけなのだが…………
「じゃあ、そろそろダンジョン出ましょうか!」
魔族達の驚きを気付かずケンヤ達に声をかけるミコト。
「マリアさん、カシムさん、オズマさん……どうしたの?」
あ……我が王は天然でした……
ミコトの声にシルが応える。
「よし! 魔族領にレッツラゴー!!」
「「「レッツラゴー!!」」」
トオル、サラ、アバロンがのる。
「れ、レッツラゴー」
恥ずかしそうに真似をするミコト。
そのミコトの姿に悶絶するケンヤ……
一同一路魔族領に向かう。
後に気付くのだが、サラのステータスには……
【氷結龍の加護】の文字が刻まれていた。
いちいち悶絶するケンヤの巻でした,




