再会
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予定通り投稿遅れてしまい、申し訳ございませんm(_ _)m
ドラゴンバスターを振るい、襲いかかる竜族を消滅させながら、駆け足で進むケンヤ。
その後を必死で追いかけるトオル、サラ、アバロン。
先程もワイバーンと言う、翼を持つ人型の悪魔の様な竜族の軍団を一刀のもとに屠り、また駆け出して行く。
もうトオル達の熟練値の事を考えるより、早く先に進む事を優先させるケンヤ。
シルは心配そうに
「ねえ、ケンヤ……なんか焦ってる?」
肩に乗るシルに対し珍しく真顔でケンヤが応える。
「焦ってる訳じゃないけど……、急いでいるのは確かだな。何故だろう……」
ケンヤ自身何故急がないと行けないのか分からない。
ただ……気持ちはボス部屋の先に向いていた。
ボス部屋まで後少しという所で、それまでとは違い、ドーム状に開けた場所に出る。
ーーゲームにこんな場所は無かったぞ?
今まで通って来たのは人の手が入った地下通路の様であったが、この場所はそれを無理やり破壊し、空間を広げた感がある。
「ケンヤ殿、これは?」
アバロンはその破壊された空間に言い知れぬ恐怖を覚える。
ーーダンジョンの破壊ーー
通常そんな事は不可能なのだ!
ではこの場所にダンジョンを破壊出来る様な存在が居る?
ケンヤは無言で頷き
ケンヤの思いを察知したシルはトオルとサラに結界を張る。
すると……
上空からキラキラと雪の結晶か降り注ぎ、辺りの温度が一気に下がる。
バサッ!
ケンヤ達の目の前に白縹色の巨大なドラゴンが舞い降りた!
その巨体の回りを雪の結晶が舞い、まるで神が地上に舞い降りた様な美しい光景に、ドラゴンが現れたにも関わらず、トオルとサラは見入ってしまっていた。
「フロストドラゴンか……」
ケンヤが呟く。
その声に皆が目を剥く!!
フロストドラゴン
神話やおとぎ話に登場する、雪や氷属性のドラゴンだ。炎、風、水、土の4大属性のドラゴンの更に上位のドラゴンで、同異種に光、闇、雷属性のドラゴンが存在すると言われ、これに氷を加えた4体は神の使いとされて4神龍と呼ばれいる。
その力は正しく神の如くで、フロストドラゴンがその気になれば、この世界の地表全て氷と雪で閉ざす事が出来ると言う。
トオルとサラはお互いを抱きしめ合いガタガタと震え、その双子達を守る様に前に出たアバロンも震えている。
当然である! 人族にどうこう出来る相手ではない。
それは魔人であるアバロンにとっても同じである。
ケンヤはドラゴンバスターを構えシルに
「シル! 3人の結界を強めろ! お前の結界がどれだけ持つか分からないけど、出来るだけ頑張ってくれ! 確かにフロストドラゴンは強力だが、このバスターならダメージが入る!」
今にも斬りかかろうとするケンヤ!
すると突然シルが……
「あれ? もしかして、フロちゃん?」
ふ、ふ、ふ、フロちゃん!?
「あっ! やっぱ懐かしい気配すると思ったらシルちゃんじゃん!」
フロちゃんにシルちゃん……
「わーー! ひっさしぶり〜! 元気してた? てかさ〜、フロちゃんなんでこんな所にいるの?」
「それがさあ〜、なんか突然こんな所に転移されちゃって、チョービックリ! って感じぃ〜」
…………シルとフロストドラゴンがキャッキャウフフしてます……
「あ、あの……、シルさんや……お知り合いなの?」
シルに尋ねると
シルとフロストドラゴンは顔を見合わせると、フロストドラゴンは徐に頷き
「あなたがシルちゃんのパートナーね! って事は勇者さん? すっご〜い! 人族の勇者さんだあ! じゃあさあ、じゃあさあ、自己紹介して良いかしらん!」
フロストドラゴンって神龍扱いされてるドラゴンだよな……威厳皆無なんですが……
「じゃあいっくわよ〜! わったしが〜、超カリスマ、スーパーウルトラ超絶可愛い、雪と氷との神龍フロストドラゴンよ! フロちゃんって呼んでね! ビシっ」
あ……間違いなくシルの友達だ……
唖然とすると共に脱力するケンヤ達……
「えっとねえ! このイケメンがあたしが加護を与えたケンヤでえ、あっちの双子がケンヤの弟子のトオルとサラ、んでこの魔人がアバロンよ!」
シルに紹介してもらい、戸惑いながら
「「「よ、よろしく……」」」
と挨拶をする。
先程までの緊張感とは真逆なゆる〜い空気……
するとシルはフロストドラゴンに尋ねる。
「ってかさあ、フロちゃん……、転移ってどう言うこと?」
ああ……確かそんな事言ってたな……、もうなんかどうでも良くなってきた……
「えっとねえ、多分だけど〜邪神の仕業かなって感じ〜」
邪神!!!
皆邪神の一言にゆるい空気が一変する。
アバロンはフロストドラゴンに問う
「ふ、フロストドラゴンよ! 邪神は既に復活しているのでござるか?」
フロストドラゴンは顎に人差し指を当て、首を傾げる
か、可愛くない……
い、いや今はそんな事はどうでも良いのだが……
「ん〜、まだかな〜! ってかさ〜復活ってのとは違うわよ? 全然違う存在かな! 新たな邪神の誕生的な?」
新たな邪神……
「うん! まだ誕生はしてないんだけど〜、力の一部は流れて来てるみたいなの〜! それが以前の邪神の残留思念って言うのかしら? それと反応してわたし達、神龍を転移させた様ね!」
ケンヤ達は絶句する。
「ほ、他の神龍も転移させられているのか!」
「えっとね〜、以前の邪神はわたし達神龍を召喚したかったみたいなの〜、けど〜そんなのわたし達に出来る訳ないじゃん! 多分悔しかったんじゃない? その思念が残ってたみたいでね〜、召喚は無理でも活性化したダンジョンのボスに、わたし達を取り込もうとした様なのよ! 転移したと思ったら、目の前に首が8本も有るこのわたしが見た事の無い竜族がいてさ〜!! チョービックリ〜、気持ち悪いしさ〜思いっきり力使って倒したんだけど……ソイツ倒したらココから出れなくなっちゃって〜、ダンジョンも壊しちゃったし……途方に暮れてたの〜」
い、色々突っ込み所満載だが……
整理しよう。
邪神は以前の邪神とは別者。
その新たな邪神の力が流れ込み、神龍達を転移させ、ダンジョンのボスに取り込もうとした。
フロストドラゴンはそのボスと戦ってダンジョンを壊したと……
このドーム状に壊れたダンジョンはボスとの戦いの痕なのね……
ケンヤ達が考察していると、突然フロストドラゴンの後方から声が聞こえた!
「ふ、フロストドラゴンだと!! このダンジョンのボスか!!」
ケンヤ達がフロストドラゴンの後方に目をやると、男女4人組のパーティの姿が!
4人共金色の瞳……ま、魔族か!
その魔族パーティの内、ベテラン冒険者風の男が1歩前に出て叫ぶ!
冒険者風の男……サーチャーのカシムである。
「お、お前達! 人族だな! まさかフロストドラゴンと戦ってるのか! 助太刀するぞ!!」
そう言って剣を抜き駆け出そうとする!
ケンヤは焦り前に出て
「ちょっとまて! コイツは敵じゃな……」
叫ぶケンヤだが、そこで1人の魔族の少女と目が合う……
あれ? あの魔族の少女……どこかで……
その魔族の少女もケンヤを見て目を大きく見開いている。
ーーーー記憶を遡る。
そ、そうだ! ゲーム内のダンジョンで1度助けた事がある!
確か……ミコト……
通常、ケンヤは1度会ったプレイヤーの事など覚えてはいない。
そのケンヤの中で強く印象に残っているプレイヤーが2人いる。
1人は何度も何度も自分に挑んで来る"マモル"と言うプレイヤー。
ゴブリンなんて種族に召喚士のプレイヤーで、どうやって自分を見つけているのが不思議だったが、挑んで来る度一回り強くなっていて好感を持っていた。
もう1人は魔族と魔導師と言う、これまた変わった種族と職業を選んでいる少女。
珍しくケンヤに話しかけて来たプレイヤーで、1度しか会ってないが、その珍しい種族と職業でケンヤの中に強く印象に残っていた。
「まさか……お前……ミコト……か?」
その一言で駆け出していたカシムは立ち止まり驚きの表情で振り返る!
ケンヤにミコトと呼ばれたその少女。
転移し、魔王となったミコトである。
しばし呆然としていたミコトだが、ケンヤに声を掛けられると、その金色の瞳から大粒の涙が溢れ出す。
「ほ、本当にケンヤさん?」
「ああ! ケンヤだ、お前もこっちに来ていたんだな!」
その言葉にミコトはケンヤの元に走りだす。
ミコトの隣にいるメガネをかけたメイド姿の魔族が
「あ! ま、魔王様!」
と、制止させようとするが、ミコトはそれを振り払う。
そして
ケンヤの胸に飛び込んだ。
回りのケンヤ達パーティの面々、ミコト達魔王パーティの面々は何が起きているのか理解出来ない……
ケンヤにしても超絶美少女のミコトが自分の胸に飛び込んで来て、泣きじゃくる状況にどうしたら良いのか……手を上げバンザイの状態でオロオロしてしまう。
するとシルがニヤニヤしながら耳元で囁く。
(ケンヤさあ〜、よく分かんないんだけど、こんな時は優しく抱きしめるものよ!)
や、優しく抱きしめる!?
ま、マジで!!
シルを見ると早く早くと急かしてくる。
ミコトって確か15歳だったよな……
49の俺が、15の少女を抱きしめる!?
犯罪っしょ!!
い、いや……今の俺の見た目15だからギリ有りなのか?
意を決し、ケンヤはミコトの背に手を回した。
ミコトはそれにピクンと反応し、胸に埋めていた顔を上げ、目には涙を溜めながら頬を赤らめ恥ずかしそうに微笑む。
その表情を見たケンヤは背に回した手に自然と力が入る、ミコトと目が合うと照れながら優しく微笑んだ。
超絶美少女のミコトと超絶イケメンのケンヤの抱擁!
それはまるで1枚絵の様にまわりに映る。
トオルとサラ、アバロンは手を前に組み、まるで美しい絵画を見る様な目でその光景を眺め、カシムとアバロンも同じ様に目を離せないでいる。
シルはニヤニヤしながウンウンと頷き
フロストドラゴンは「ま〜、ま〜」と手で顔を隠す……指は全開で開いてはいるが……
ただ……魔族領、領主の1人オズマだけは……
こ、これは……こっそり魔王様親衛隊にとっての一大事……!
ギリッ! っと下唇を噛むのであった……
やっと出会いましたねw




