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平凡な戦士職の成り上がり  作者: 司純


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カシム

ブクマありがとうございますm(_ _)m


投稿遅れてしまい申し訳ごさいません!





「ベリトさん今回の件、全部お任せしてごめんなさい」


 謁見の間を出たミコトはベリトに謝る。


 本当は自分が仕切らなければならない事を、全部ベリトに任せてしまい申し訳なく思う。


 首を落とされたマイルを見た瞬間気絶してしまった……


 …………未だその光景が瞼に焼き付いている。


 15歳の女子高生が初めて首の取れた死体を見たのだ!


 しかも見た事のない種族。


 ゲームにあんなのは居なかった。


 ベリトは心配そうにミコトを見やり


「いえ、魔王様! 私こそ無理を言い、今回ご出席して頂き申し訳ごさいません。魔族領、いや魔王様の危機! 魔族皆が一致団結しませんと行けません。魔王様が居ると居ないのとでは、皆の士気に影響がございますので……」


 そのベリトの言葉にマリアも頷く。


「魔王様お気になさらずに。煩わしい事は全て私とベリト様にお任せ下さい」


 ただ……ミコトは思う、そうも言っては居られない状況だ!


「ベリトさん、マリアさん! こんな状況です、魔王である私が、死体を見て気絶する様では……、今後あの様な者達と戦わなければいけないのでしょ?」


 ベリトは難しい顔をしながら


「あの者の魔力……、我々魔族より高いかと思われます。なんとしても我々だけでどうにかしたいのですが、万が一があるやもしれません。その時には魔王様のお力をお借りする事も…………」


 ベリトは悔しそうに呟く。


 マリアも申し訳けなさそうに


「いざとなれば私達魔族はその身を盾にし、魔王様をお守りします! しかし、あの者……強いです! あの魔力量で斥候と申しておりました。もし戦闘特化型の個体だと……、どれほどのものか想像がつきません」


 ミコトは考える。


 何か自分に出来る事は…………


 あっ!


「ベリトさん、マリアさん、魔族領にもダンジョンはありますよね! ダンジョンに入りませんか?」


 マリアは驚き


「ダンジョンですか? ございますが……まさか魔王様自らお入りに?」


 ベリトは顎に手を当て


「魔王様は我々魔族の戦力の底上げをお考えで? 確かに、良いお考えかとは思いますが……、マリア、サーチャーのカシムを!」 





 魔族達にもダンジョン攻略を行っている人族で言えば冒険者の様な者達がいる。


 彼らの事は魔族達は冒険者とは呼ばず、サーチャー(探索者)と呼んでいた。


 サーチャーの任務は重要で、魔族領の魔石事情、即ちエネルギー供給を一手に引き受けている。


 魔族領のエネルギーだけではなく、帝国との交易にも一役かっており、その為、魔族領では厚遇されているいわゆる戦闘エリート集団だ。


 強力な魔物が湧く魔族領のダンジョン。


 そこに毎日潜り魔石を集めて来るのだ!


 その平均レベルは30を超える!


 リーダーのカシムのレベルは38にもなる。


 人族側の最強近衛兵団の平均レベルが20前半、Aランク冒険者のレベル30前後と比べると、その戦闘能力の高さが伺いしれよう。


 

 そのカシムが呼ばれ、案内された部屋に入る。


 ベリトからの呼び出し……


 理由は恐らく先日の帝国からの使者の件か?


 サーチャーの俺に?


 いや! 違うな。


 今、何故かダンジョンが活性化し、強力な個体が溢れている。


 その事をカシムは報告して居なかった。


 恐らくはそちらの件だな……


 ーーーーサーチャーとしての矜恃ーーーー


 自分達だけでなんとかしてみせると、各ダンジョン攻略に全力で取り組んでいたのだ!!


 そのおかげでまだ自分も含め、魔王様が誕生したと噂では聞いていたが、まだそのお姿は拝見していない。


「たいそう御美しいお方だとの話しだが……」


 カシム自信、魔王様誕生は喜ばしいかぎりだ!


 魔王様のおかげか、魔力の高まりを実感している。


 そんな事を考えながら待っているとノックの音がし、メイドの1人が謁見の間に来るよう伝えに来た。


 カシムはメイドに連れられ謁見の間に入る。



 各領3人の領主が並び、その後ろ玉座の右側にはベリトが、何故か左側にはメイド姿のマリアがいる。


 何故マリアが? と思うカシムだが……


 その中央の玉座に座る小柄な少女に目を奪われた!


 ま、まさかあれが魔王様……!!


 まだ少女ではないか! 


 し、しかし……、なんと言う魔力!!


 そして


 ………………美しい


 カシムは臣下の礼も忘れ、魔王ミコトに見とれてしまう。


「ゴホン!」


 ベリトの咳払いにハッとし膝をつき頭を下げるカシム。


 頭を下げ魔王の姿は見えなくなったが、その魔力は感じられる。


 凄まじい!!


 これが魔族の頂点に立つお方の魔力!!



 いくらカシムのレベルが高いと言っても38である。


 ミコトのレベルは48!


 レベル5違えば強さの次元が違う世界で10の差は絶大だ!


 ただでさえレベルが上がりづらい魔族と言う種族、カシムがミコトのレベルまで上がるのはほぼ無理であろう。


 その事をミコトの魔力を通じ、肌で感じ取るカシム、強者故魔王との力の差を実感してしまう。


 サーチャーとして長年ダンジョンで鍛え上げ、魔王代理として君臨していたベリトにも引けはとらん! と日頃豪語していたカシムだが……


 カシムは苦笑する。


 魔族の強者が一生を費やし、上げれるレベルの上限は40だ。


 確か人族では45だったな。


 この数字、魔族のレベル40と言うのはそこで限界と言う訳ではない。


 ただただ物理的な問題なだけだ!


 魔族の寿命はだいたい100歳前後だと言われている。


 幼い頃から天才と言われ才能に溢れる者が、戦いに明け暮れ戦える限界の歳までに上げれるレベルが40だと言う事なのだ。


 寿命が伸びれば更にレベルを上げれるのだが……


 人族の場合は魔族よりレベルは上がりやすいのだが、平均寿命が70歳と短く、更にダンジョンに現れる魔物が魔族領の魔物に比べ圧倒的に弱い。


 ただし、魔族のレベル40と人族のレベル45とでは魔族の方が強い!


 元々のステータスやレベルによるステータスの上がり幅が違う為である。


 カシムは思う。


 自分は今がピークだ、しかしこの魔王様は今の時点で俺より圧倒的に強い! 


 恐らくレベル差10はあるであろう……


 しかもまだ若い!


 今後どれだけ強くなるのか想像が出来ん!!


 


 自分が育てて見たい!!




 自分より強者の魔王様に不敬かもしれないが、経験は圧倒的に俺が上であろう。


 自分の培ってきた技や経験をこの魔王様に授けたい!


 カシムがそんな事に思いを寄せていると


「顔を上げて下さい」


 その膨大な魔力に相応しくない可愛らしい声。


 その声に反応し、思考を止め頭を上げた。


 頭を上げたカシムにベリトは、マイルから聞き出した邪神の件を伝える。




「じ、邪神ですと……!」


 初めて聞いた邪神の名に、カシムはベリトに懐疑的な表情で


「しかも過去の歴史を帝国が歪め、更に魔族の魔力を奪っていたなど……ベリト殿、頭は大丈夫か?」


 カシムの失礼な発言に腹を立てる風でもなく、ベリトは謁見の間入口に控える兵にある物を持って来るように指示を出す。


 しばらくし、カシムの前に腐敗を防ぐ魔法処理をされた箱型の魔道具が置かれた。


「カシムよ、その魔道具を開けてみよ!」


 ベリトに指示をされ魔道具を開くと……


「こ、これは!!」


 見た事のない種族の首!


 ベリトはその首を掴み、自分の目の高さにまで持ち上げる。


 その様子に思わずミコトは顔を背けた。


 ベリトは魔王を気遣い


「カシム、首を降ろせ! 魔王様が不快に思われておる!」


 カシムはハッとし、顔を背けるミコトを確認すると、首を魔道具に仕舞った。


 ベリトは語る。


「その首は帝国からの使者マイルの正体、邪神の眷属だ!! その者の魔力を搾り取るのに、あの宝玉2つ必要としたのだ。その恐るべき魔力量を持つマイルはただの斥候部隊だと言う……、信用出来たかな?」


 この奇っ怪な種族……、信用するしかなさそうだ。


「して、このカシムに何をさせようと?」


 その俺の問に魔王様直々にお応えになる。


「カシムさん、私をダンジョンに連れて行って欲しいんです」


「「「だ、ダンジョン! 魔王様が?」」」


 これにはカシム始め、3人の領主も驚きオズマなどは


「魔王様! それは行けません! ダンジョンに用があるのであれば、我々に命じて下さればよいのです」


 ドリスやラダも同様に


「オズマ殿の言う通り! 魔王様自らダンジョンに赴くなど……」


 カシムもそう思うが、先程の考えが呼び起こされる!


 魔王様を育てる!!


 じ、実現するかもしれん!


 魔王様は皆を宥めた後


「先程の私の姿を見たでしょ? その首を見ただけで顔を背けてしまいます。最初見た時は気絶した程でした……」


 魔王様は情けない顔で皆を見渡し


「これからその様な方達と戦わなければらないのにそれではダメでしょ? だからダンジョンで魔物を倒して血になれないと……、後レベルも上げておきたいの! 皆さんを守れるように!」


 ………………皆さんを守れるように!


 魔王様の言葉に皆胸が熱くなる!


 確かに凄まじい魔力を誇る魔王様だ、しかしまだ幼さが残る少女の決意に俺の鼓動は早くなり


「魔王様! その決意心を打たれました!! そのお役目、是非このカシムにお任せ下さい!」


 頭を床に擦り付ける様に臣下の礼をとる。



 この様に本当の意味で頭を下げたのは初めてじゃないか?



 カシムは絶対の忠誠をこの時誓ったのだった。





 それを見ていたオズマは


「わ、私も付いて行きますぞ! 絶対付いていきます!!」


 マリアに白い目で見られるオズマ……


 ミコトはオズマのその言葉に無邪気に応える。


「オズマさんも協力してくれるんですね! ありがとうございます。では私と皆さんでパーティを組みましょう、経験値を共有するんです!」


 皆が愕然とする!!


 …………魔王様とパーティを組む!?


 ベリトは挙手し


「な、ならば私こそ魔王様のお傍に居なければ!! 魔王様! 是非このベリトをパーティの一員に!!」


 するとドリスとラダも


「ベリト殿! ズルいですぞ!! 魔王様! 是非私共もご一緒に!!」


 マリアは呆れ顔で


「皆様……落ち着いて下さい! 魔王様について行くのは先ず、この魔王様付きのメイドである私でございます!!」


 皆が皆譲らない……


 ミコトは悩み


「ん〜、あまり沢山居ても経験値共有には向かないし…………、じゃあくじ引きで決めません?」


 く、くじ引き!?


「はい! えっと、パーティメンバーは5人までとします。サーチャーのカシムさんは決定だけど、他のメンバーはくじ引きです! どんなくじにしようかしら……」


 マリアはニヤリと笑うと


「魔王様、それはこの後私と…………いかがですか?」


 ミコトはマリアのその意見に


「楽しそう!! じゃあ後程、皆さんにはどうするかお伝えしますね! 明日の朝とか皆さん大丈夫です?」


 とてもダメとは言えない……


 皆無言で頷く。


 そう言うとミコトとマリアはキャッキャと2人で退出してしまった……


 マリアは振り向き勝ち誇った顔をし去って行く。


 くっ! やられた! マリアは必ず細工をしてくる。


 魔王様、カシム、マリア……残り実質2枠の争い……


 

 バチバチに睨み会う領主達……



 ため息を付き謁見の間を後にするカシムであったが……、そのニヤケ顔はしっかり領主4人に見られていた。

 


 

 


 



 


 


 


 




 


 





 


 



 


 


 


 

 


 


 


 

 




 


 

ミコトが天然炸裂?w

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