帝国
今回は短めのお話しです。
真面目なお話しは疲れるんでw
トルムント帝国
東側はアルメシア王国に面し、西側には広大な森林が広がり、その先に魔族領がある。
魔族達とは森林に住むエルフ族を通して交流があり、貴重な魔族領産の魔石やアイテム、素材等を、アルメシア王国や他の国との公益材料としていた。
その為、アルメシアとの国境付近の街には、多くの商人達が集まり、この国境の街が帝国の経済を支えていると言っても過言ではない。
ただ、この街より先は特別な許可なくば立ち入る事が出来ず、許可なく立ち入れば例え他国の要人と言えど、帝国の法によって裁かれる。
ある国の第2王子が不用意に立ち入ってしまいその場で処刑! 国を上げて帝国に講義をした所、帝国に国交を閉じられてしまった。
国交を閉じらた国は、魔族領産の魔石や素材を直接帝国から買い取る事が出来なくなり、他国から買い付けなければならなくなる。
経費はかさみ、エネルギーである魔石を国内だけで賄うのが難しいその国は、現在アルメシア王国の支援によって細々と国家運営を行ってる。
恐らくアルメシアに吸収されるだろうとの噂だ。
それほどの影響力のあるトルムント帝国。
その帝国のとある場所。
フードを被った黒ずくめの男が扉をノックる。
中から「入れ」と声がし、男は扉を開け中にはいる。
入る際、半透明の膜の様な物をくぐる。
盗聴防止の結界が張られていた。
結界を抜けた先の部屋は、まるで裁判所の傍聴席の様になっており、10人程が着席している。
フードの男は中央まで進むと臣下の礼をとり、フードを外す。
2本の角に紺に近い青い肌に赤い目、ピサロ北の森のダンジョンを探っていたあの男だ!
10人の内の1人が口を開く。
「タスクよ、首尾は?」
タスクと呼ばれた男は壊れた召喚の杖を差し出し
「既に何者かにボスは倒され、杖を使い召喚も行なったようです」
壊れた召喚の杖を目を見開き凝視する。
「な! あの辺境の地にダンジョンのボスを倒せる様な者が居たのか!」
もう1人も唸りながら
「あのボスを使い、杖を育てる計画が……。魔人族を召喚するのは諦めるしかないか……しかし、召喚された者も気がかりじゃな。タスク、その者は今どうしておる」
タスクは首を振り
「確認出来ておりません。恐らく召喚した者を殺害し、もしかするとピサロに潜伏してる可能性もございます。魔人族は我々と違い、特別人族を忌避している訳ではごさいませんから……」
ふむ……と頷く傍聴席の者達。
「だが、まずい展開だな! その魔人から人族と魔族との関係をバラされでもしたら……我々の500年かけて来た苦労が水の泡に……」
すると別の者が
「その事は大丈夫であろう。人族は魔人族の言う事など信用すまい! 人族に多大な被害をもたらしたのは魔人族だからな! 操られていた事は伏せて伝承してきたのだ。ただ……、厄介なのは変わりない! タスクよ、ピサロに戻り召喚された魔人を探しだし始末せよ! お主なら問題あるまい? そして人族の英雄、精霊と交わる前の始末もお前に任せる」
タスクは「はっ!」と応えると
「では早速!」
足早に部屋を後にした。
タスクが去った後。
「魔族領でも何やらあった様だな……、マイルとの連絡が途絶えた! 新たな魔王の仕業か?」
「アレは転移魔法の使い手だ。いざとなれば転移して逃げてこれる。だがもしかすると既に殺されている可能性もある。その方が情報が漏れるより気が楽だが」
「たとえ魔王であったとしても、あの者から情報を引き出すのは無理でしょうな! そもそも魅了魔法をかけております。余程の魔力差がない限り限り魅了が解除される事はございません」
「だとは思うが、人族はともかく魔王だけは侮れん! 500年前、邪神様がお倒れになられたのは、魔王と精霊の力が大きいとワシは考えておる。半年前の調査ではまだ精霊の存在は確認されてはおらん。先ず魔族領に新たな刺客を送る! ナチを呼べ!」
その言葉に回りは驚く。
「な、ナチをですか? あの者確かに斥候には向いておりますが……」
「別にすぐ魔族と1戦交えるわけでは無いからな! 先ずは情報収集だ! 女型なら油断もさせれよう、それにナチの持つスキルは何かと役にたつ」
そう言ってニヤっと笑う男。
その男に皆が臣下の礼をとる。
「邪神様復活の時は近い! 皆滞り無く事を運ぶように!」
「「「はっ!!」」」
動き出す帝国!
しかし既にケンヤとシルは出会い、魔族達には帝国の計画の1部が知られていた。
この差がどの様な結果を生むのか。
この時点で知るものは居ない。
作者も知りません(T_T)




