ダンジョン攻略
ブクマやご指摘ありがとうございますm(_ _)m
次回から少し展開が変わります。多分……
後、明日から少し投稿遅れ気味になると思います。
申し訳ございませんm(_ _)m
北の森ダンジョン入口
「さて、今からダンジョンに入るんだが、昨日入った感じだとトオル、サラ、お前達は絶対魔物に手をだすな! 俺が全部相手するから見てるだけにしろ。いいな!」
トオルとサラは「「ハイっ!」」と元気よく応える。
「ただ数が多いから万が一がある。もし魔物が俺を抜けて襲って来たら一目散に逃げろ! 決して戦おうとはするなよ! ただ後ろに湧いた時が難しいんだよな〜」
ダンジョンは侵入者の進行方向だけに魔物が湧く訳ではない。
当然後ろにも湧く。
ケンヤはさてどうしたものかと考えていたら
「フフフ! ケンヤ、あたしに任せなさい!」
シルがなにやら自信タップリだ!
「あたしを誰だと思っているのかしら? 森と風の大精霊よ! 2人はあたしの結界で守ってあげるんだから! ビシ」
け、け、け、結界?
「あの〜……シルさんや? 俺お前がそんなの使えるって初耳なんですが…………」
「そりゃあ言ってないもん!」
そ、そうですか……
トオルとサラはシルに
「「流石シル姉さん! 尊敬します!!」」
シルは2人の反応に気を良くしたのか
「ぐふふ! シル姉さんが必ず守るからね! だからさあケンヤ、もう2人のレベル上げ&ダンジョン攻略しちゃおうよ!」
何勝手な事言ってんだ?
けどダンジョン攻略かあ……楽しいかも?
「まあ時間次第だな! 2人の守りの心配は無くなったし、早速ダンジョンに入るぞ!」
「「「おーー!レッツラゴーー!!」」」
ダンジョン内を進み、昨日ホブが大量に湧いていた場所に差しかかる。
その少し開けた場所にホブが3体いた。
トオルとサラは
「あれが【ホブゴブリン】ですか!」
「見た目はゴブリンですけど、体格が全く違います」
だな! ゴブリンよりふた周りほどデカい、けど……
「あれ? 3体しか居ないな? まっいっか、とりあえずあれ狩っとくか」
(前回の衝撃破斬? で思いついた事あるのよね〜、上手くいくかしら)
ケンヤはロングソードを抜き、まだ10数メートル程離れたホブに手首のスナップを利かせ剣を振るうと
ぼてっ
一体のホブの首が落ちた。
「おお! 成功!! 俺スゲー!!」
トオルとサラはポカーンだ……
今まで隣にいた仲間の首が取れ、2体のホブはオロオロと周りを見渡し、そして俺と目があった。
「グガーーーー!!」
ホブは雄叫びを上げながら近づいてくる。
俺は再度剣を2度振るうと
2体のホブの首が転がった。
ケンヤのスナップを利かせた剣先は音速を遥かに超え、真空波を生み出しホブの首を切り落としたのだ!
「ケンヤ流真空波斬! なんちって!」
あ! 思わず口に出してしまった……
「「ケンヤ流真空波斬! スゲー!!!」」
………………は、恥ずかしい!
シルは転がっているオーガの首と俺を見て
「ケンヤ〜! ネーミングセンスはともかく、凄い技だね! グッ!」
し、シルにネーミングセンスを…………暫く立ち直れないかも……
「し、シル、2人に結界を張ってくれ。トオル、サラ、結界から出るんじゃないぞ!」
シルは「了解」というと、2人の周りにドーム状の透明な結界が張られる。
結界が張られた事を確認し、ホブの首が落ちている場所まで移動すると…………
その地面から、壁から、はたまた奥の通路からワラワラとホブが湧いてくる。
(へ〜! ゲームでは分からなかったけど、ダンジョンの魔物ってこんな感じで湧くんだ)
ケンヤはアイテムボックスからもう一本ロングソードを出し
「これトラップルームかな? なんにせよ2人の経験値稼ぎイッキマース!」
……………………トオルとサラは驚愕する………………
ケンヤが剣を振るう度、20いや30? 以上のホブが次々に倒れて行く。
なにやら剣の先から、凄まじい衝撃波の様なものが生まれているのだ!
それでも大量のホブは狂った様にケンヤに向かい、此方に来る気配はない。
【トラップルーム】とケンヤは言っていた。
恐らくその場所に踏み入れると、この様に魔物が湧く場所なのだろうと、トオルとサラは推測する。
ただ………
ホブが湧くよりケンヤが倒す速度の方が速い!
現状 "湧き待ち" の様な状況になっている。
すると今までのホブよりさらに一回り大きくて、体色も黒っぽい個体が奥の通路から現れた。
「トオル、サラ! あれがロードだよ!」
シルが2人にロードが現れた事を告げる。
「「ロード?」」
「うん! えっとね〜、いっちばん強いゴブリンかな!」
1番強い!!
2人がロードに向き直ると
ロードはケンヤの【真空波斬】によって、呆気なく首が落ちた……
「終わりかな? おーーい、魔石集めるの手伝ってくれ!」
2人はハッと我に返り魔石を拾い始め、集まった魔石を俺がアイテムボックスに仕舞っていく。
シルは溜息をつき
「これ全部拾う前にダンジョンに飲み込まれそうね〜」
トオルとサラは
「多分1000近くあるんじゃないですか?」
ふむ、時間勿体ないし、これぐらいにしておくか!
「じゃあ、それぐらいにして先進もうか!」
俺達はダンジョンを進む。
4階層まではホブしかいなかった。
数も2から3体づつで、1階層の様な大群は現れない。
(やっぱりアレ、トラップルームだったのかな?)
入口でイキナリ大群に襲わせるとは……中々えげつないトラップだね〜
そして5階層に降りる。
しばらく進むと
「お! ハイオークだ!」
オークの上位種である【ハイオーク】が現れる。
普通のオークとは違い、体長はあまり変わらないが、体色は緑色で目の前のハイオークは、青龍刀の様な武器を持っていた。
ケンヤは軽く真空波斬? で倒し先に進む。
5から8階層まではハイオークで、8階層で初めてオークロードに出会うが、これもケンヤは呆気なく倒してしまう。
トオルとサラはもう驚かなくなっていた。
これがケンヤなのだと……
9階層に降りると1階層と似た様な少し開けた場所に出る。
「あーー、これトラップルームだよね〜、1階層と同じじゃん! なんて芸の無い……」
ケンヤはブツブツ文句を言う。
ただトオルとサラは、またあの時の様な数の魔物が現れるのかと冷や汗をかく。
しかも今は9階層……ホブより強力な魔物である事は間違いない。
そんな2人の思いを気にする事もなく
「じゃあシル、2人の事頼んだぞ!」
そう言うとスタスタと歩いて行く…………と
1階層と同じ様に魔物が湧いてくる。
オーガだ!!
トオルとサラは、まだ少しオーガに対し忌避感があるのか1歩下がる。
結界の中で安全だと分かってはいるのだが……
ケンヤはそんな様子の2人を見てクスっと笑った後
「ではケンヤ突貫します! ビシっ」
少しおどけてオーガの群れに突っ込んでいった。
ホブを相手にしていた時と同じ様に、次々とオーガが倒れて行く。
トオルとサラはその光景に少し安心しケンヤを見守る。
だが…………
「パキン!!」
ケンヤのロングソードが折れた!
オーガ達はその隙を逃すまいと、今までよりさらに勢いをつけ、ケンヤに襲いかかってくる。
トオルとサラは驚きケンヤを助ける為、結界から出ようとすると
「あんた達、誰の心配してんのよ! ケンヤよケンヤ! 大人しく見てなさいな」
シルがそう言った瞬間
「ズバーーーーーーン」
凄まじい斬撃音と共に、ケンヤの周りに居たオーガ達が崩れ落ちた。
ケンヤを見ると、その両手にそれは美しい白銀の剣が握られている。
ケンヤがその剣を振るう!
先程までの倍近くのオーガが、その一振で沈んでいく。
トオルとサラにはその美しい剣を使う事により、ケンヤの強さの次元が変わった様に見えた。
実際にロングソードと今ケンヤが持つミスリルソードとでは、攻撃力に格段の差がある。
剣を替えたケンヤが強く見えるのは当然だった。
ーーーーそして
「流石にこれだけ魔物倒すと、普通のロングソードじゃもたないな」
オーガを全滅させたケンヤは呟く。
心配をよそに全く緊張感のないケンヤの声を聞き、トオルとサラは脱力してしまった。
「ちょとケンヤ! 2人が心配してたのよ! なにその緊張感のない声」
シルに言われ
「ん? ああ! 剣が折れた事? ごめんごめん」
俺が謝るとトオルが
「俺……こと戦闘に関してはもうケンヤさんの心配はしません! 今までもしてなかったけど、改めて思い知りました……」
サラも
「お兄ちゃん……だよね! ケンヤさん私もです。心配するだけ損だと気が付きました!」
2人は「ハハハ……」と乾いた声で笑う……
ーーなにか悟りを開いた様な顔だ。
シルは腕を組み「ウンウン」頷いている。
…………
「よ、よし魔石集めて次行ってみよう!」
トオルとサラはチラッと俺をみた後、無言で魔石を集めだした。
………………俺なんか悪い事した?
9階層を奥まで進み、このダンジョンのラスト10階層に降りる。
10階層もオーガの様で、サクサク先に進む。
たまにオーガの上位種、体色が紫色の【ハイオーガ】も現れるが、ケンヤにとってはオーガもハイオーガも大して違いはない。
程なくしてダンジョン10階層最深部、ボス部屋に続く扉にたどり着いた。
「さてボス部屋だ! 普通ならミノタウロスだけど、多分ボスも違うと思う。万が一があるから絶対シルの結界から出るなよ!」
トオルとサラは頷く。
そして扉を開き中に入ると、お決まりの様に扉が閉まる。
するとボス部屋の祭壇の様な場所が光だし、ボスであろう魔物が現れた。
「お! ミノタウロス? いや違う、亜種かな?見た事のないヤツだ!」
そのボスが「ウゴーーーー!」と吠えると
ゴブリンロード、オークロード、ハイオーガがそれぞれ一体づつ召喚される。
「へー! 上位種を召喚出来るんだ! じゃあ先に召喚したヤツから倒しますかっ」
召喚された3体に真空波斬で首を落とし倒す。
すると
「ウゴーーーー!」
ボスが吠えるとまた3体召喚される……ボスは動かない。
3体を倒す……吠える……召喚される……
何回か繰り返す。
(これ無限に経験値稼げるパターン? しかも召喚されるのはロード2体にハイオーガ、ボスは近付かないと襲ってこない様だ! トオルとサラには経験値もオイシイ!)
俺はシル、トオル、サラに
「ちょっと裏ワザで大量の経験値稼ぐから、結界の中で休んでてね!」
そして6時間ほど経過
「ね〜! ケンヤ、もう飽きたよ〜! 帰ろ!」
俺が振り替えると、トオルとサラは飽きたのかご就寝中でした……
辺りには2人が食べたのか、保存食や水筒が置かれている。
レベル上げやると無心になるゲームの時の癖が出てしまった様だ……寝るのも忘れてしまうのよね〜
イカンイカン
「わ、悪い! とっととボス倒します」
ボスに近付きサクッと首を狩った。
「おーーい! お待たせ、起きろー!」
トオルとサラを起こす。
「悪い悪い! つい夢中になってしまって……」
シルは呆れて
「つい夢中で半日狩り続けるって、有り得ないんですけど!」
「だから悪かったって、けどかなりレベルは上がったと思うぞ! 2人共レベル確認してみろよ」
ケンヤに言われトオルとサラはレベルを確認すると
「「えっ!!!」」
固まっている。
「あ、あの…………ケンヤさん……お、俺まだ夢の中にいるんじゃ……」
「お、お兄ちゃん…………私もまだ……」
2人の動揺が激しい
「そんでレベルいくつなんだ?」
トオルとサラはカクカクとした動きで俺に顔を向け
「「28です……」」
お、惜しい!30には届かずかあ。
ケンヤは知らない……この国最強の近衛騎士団の平均レベルが20前半だと言う事を。
そして、この世界に5人しか居ないAランク冒険者にしてもレベル30前後だと言う事も……
たった1日で近衛騎士団の平均レベルを軽く上回り、Aランク冒険者に拮抗するまで、2人のレベルを上げてしまったケンヤ……
トオルとサラ
世界最強まで後1歩……
一方その頃
ピサロ領主邸
朝、ケンヤを捕まえ損ね頭を抱えていたギルド長は、領主のネイスに呼ばれ領主邸に訪れていた。
「多分ギルドの方にも直接連絡は行くとは思うが……これを読んでみてくれ」
青い顔をしたネイスから文を預り目を通すと、文を持つ手をカタカタ震わせながらネイスに問う。
「こ、これは……まことの事……でしょうか」
ネイスは頷く。
その文には……
ーーーー魔王復活の兆しありーーーー
と書かれていた。
……6時間




