表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な戦士職の成り上がり  作者: 司純


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/117

ソフィア・ローレンス②

何とかこの時間に投稿できました!


今回は主人公のケンヤは登場しません。

たまには閑話以外にそんな回があっても良いかなと……


ご意見ご感想あれば、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

 伯爵令嬢のAランク冒険者ね〜


 ギルド長はかなり問題視していたが、ケンヤ自身特に気にする様子も無く過ごしていた。


 但しその間、ギルド職員は慌ただしく動いていたようだか……


 それはこのピサロ領主、ネイス・ダグラスも同様で、その一報を受けてから頭を抱えている。


 ネイス・ダグラス・ピサロ、爵位は男爵である。


 ピサロの街とその周辺の村々があるピサロ領、その小さな辺境地域を代々ダグラス家は治めている。


 ちなみにだが、氏名の後に治めている街の名が付くのは当主だけだ。


 その男爵家の治める辺境地域に、伯爵令嬢たるソフィアが訪れると言うのだ!


「全く、ソフィア様は何を考えているのやら……ローレンス伯も御自分の娘の管理ぐらい、ちゃんとして頂きたいものだ……」


 不敬ではあるが愚痴の1つも零したくなる。


「何もなければ良いが……」


 ネイスはキリキリ痛む胃を押さえ、深く溜息をついた。




 ピサロの一斉間引き前日、ギルド内は多くの冒険者達が集まっていた。


 明日のパーティ組み分けを行う為である。


 但し、そこにケンヤ達の姿はない。


 ギルド長はソフィアの動向を探ってはいたが、肝心のソフィアが王都に居らず、結局その思惑を知る事が出来ないでいた。


 その為ケンヤ達のパーティには、都度対応できるよう、見習い達を入れない様に決定したのだ。


 その決定を聞いたケンヤは


「ラッキー!! じゃあ俺達は北の森に篭ってレベル上げやるぞ!」


 嬉々として双子を連れ北の森に……暫くギルドに顔を見せていない。


「彼奴、まさかバックれる気ではあるまいの……」


 ギルド長がそんな不安をあらわにした時、ギルド長室のドアが開き、1人の男が焦った様子で入って来た。


 その男がギルド長に耳打ちすると


「な、な、な、何じゃと!!!」


 急いで部屋を出る。


「バンっ!!」


 ギルドの扉を勢いよく開け、2人の人物が入って来た。


 その場にいた冒険者、職員一同注目する。


 1人は白銀のミスリル装備に身を包んだ、金髪ブロンドの明らかに高貴な雰囲気のある美少女。


 もう1人は灰色の髪に生気のない目をした特に特徴の無い青年だ。


 ただその装備は、ただの従者が身に付けるような物ではなかったが。


 美少女がギルドの中を見渡し


「久しぶりにピサロのギルド来たけど、あまり変わってないのね!」


 するともう1人の男が


「ソフィア様、久々と言っても1年少々ですから……」


 数人の冒険者と職員が、その美少女を見て驚愕の表情になる。


 1人の冒険者が


「ま、まさか……Aランク冒険者ソフィア……」


 その声を聞いた冒険者が諌める。


「ば、バカ! この方はAランク冒険者だが、伯爵令嬢様でもある! ソフィア伯爵令嬢様と呼べ!!」


 その場にいた全員が驚愕し一斉に膝をついた。


 冒険者などやっていると、貴族などと接触する事など、まずありえない。


 この街の領主の顔さえ知らない者達だ。


 ましてや伯爵令嬢相手に、どのように対応すれば良いのか、誰も分からないのである。


 とりあえず膝をつくしかない。


 そこへギルド長が慌てた様子で現れ、ソフィアの前で膝まづく。


「そ、ソフィア嬢……突然の訪問驚きましたぞ!」


 ソフィアはギルド長に微笑んで


「ドヴェルク久しぶりね! 皆さんもそう畏まらないで、わたくし今日は伯爵令嬢としてではなく、いち冒険者として来てますから」


 ギルド長は溜息をつき


「それでもですじゃ! まさかとは思いますが……共はそこに居るデイルだけでは……」


 ソフィアはウフフと笑い


「だけ……ですわよ?」


 ギルド長は崩れそうになりながら


「デイルよ……お前さんも苦労が絶えんの」


 デイルと呼ばれた青年は


「慣れております」


 と覇気無く応える。


 デイルの言葉に気にする様子もなく、ソフィアはギルド内を見渡し


「ところで、ケンヤって方はどなたかしら?」


 すると副ギルド長のメイが


「恐れながら……ソフィア様、ケンヤ様にどの様なご要件でごさいましょう?」


 ソフィアはメイを見て


「あら、副ギルド長のメイね! お久しぶり」


 メイに軽く挨拶をした後


「ご要件って言われましてもね〜、ちょっと興味持っただけですわよ? だって冒険者になって直ぐにゴブリン数十体倒したり、精霊を連れて帰ったって噂を聞けば、誰でも興味持つでしょう?」


 それを聞いたメイは、何も言えなくなってしまった。


「それでケンヤさんはどなた?」


 ソフィアが再度尋ねると


「ケンヤはここには居ね〜よ」


 声の主はルークスだ。


 その口調を聞いた周りはギョッとする。


 そんな周りの反応を見てルークスは


「なんだなんだ! そこにいるソフィアさん? 様? は、今日冒険者として来てるんだろ? なんでそんなに畏まる必要がある! そりゃAランク冒険者としては尊敬するけどな!」


 ……


 皆固まってしまった。


 当然である!


 ソフィアは大貴族である伯爵令嬢だ! 例え本人がそう言っても、敬意は払わなければならない。


「……貴方、お名前は?」


 皆2人のやり取りをヒヤヒヤしなが見つめる。


「あんたさあ……ギルド長との話しであんたがソフィアさんってのは分かったけど、自分で名前名乗ってねえぞ? 人に名前尋ねるなら、まず自分から名乗らないとな!」


 あ……ルークス詰んだ! 皆がそう思った……


 だがソフィアはキョトンとした後、凄く楽しそうに笑い、皆がウットリとする様な笑顔を浮かべ


「確かにそうね! 私はAクラス冒険者のソフィアよ、もう一度お名前を伺って良いかしら?」


 ルークスはそれを聞き、満面の笑顔で応える。


「ルークス! Dランクの冒険者だ。偉そうな事言って悪かったな」


 ルークスが右手を差し出す。


 それを見たソフィアは一瞬躊躇したが、自分の右手を差し出した。


 その時「バンっ」とギルドの扉が開く。


 皆が今度は誰だ? と扉の方を向くと、数人の供を従え領主であるネイスがギルドに飛び込んで来た!


「ソフィア様! 見つけましたぞ! まさか本当に共1人だけでピサロにお越しになるとは……」


 ソフィアに続き領主までご登場である。


 皆ポカーンだ……


「ローレンス伯から文を頂いております! 恐らくソフィア様単独でピサロに向かわれたと! そして見つけ次第、確保する様に……これがローレンス伯からの文の内容でございます!」


 その文を読んだソフィアは諦めた顔をし、ネイスに連れられギルドを後にする。


 ただ去り際に


「あ、明日は父上がなんと言おうと、私も参加します! 絶対絶対参加しますからね!」


 と、言い残しネイスに連行? されて行った……




 嵐が去った様なギルド内


 ギルド長は何とか声を絞る。


「い、色々皆混乱してるじゃろが……皆明日はよろしく頼む! 後ルークス」


 ギルド長に呼ばれルークスは何やら嫌な予感が……


「お前さん明日はソフィア嬢係な!」


 周りは納得の様子で頷いていた。





 領主邸、とある一室に招かれたソフィア


「これ……軟禁ですわね……」


 部屋の扉の外に兵士2人、窓の外を覗くとそこにも兵がいる。


 ソフィアなら突破しようと思えば、問題なく突破できるが……流石に他領の兵を傷付けてまで、そんな事をしようとは思わない。


「ソフィア様自業自得では?」


 扉の内側にたっているデイルは無表情で応える。


「ふん! けど、明日は楽しみだわ! 今日は会えなかったけど、精霊を連れた戦士ケンヤ、流石に明日は会えるでしょ! 何せピサロ上げてのイベントだしね」


 それに、とソフィアは


「あのルークスだったっけ? 面白いですわ!」



 ソフィアは楽しそうに笑い、それを無表情でみつめるデイル。




 それぞれの思いはあれど夜は更けていった。




























ルークスさん、ロックオンされてますよw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ