トオルとサラの反抗
ブクマありがとうございますm(_ _)m
またこんな時間の投稿になってしまいました。
あ!今回前半部、少しふざけすぎたかも……
後戦闘シーンは難しいですね……
「サラ! ファイアーボール」
トオルがサラに向かって叫ぶ。
「お兄ちゃん、了解!」
サラは呪文を唱え、直径30cmほどの火の玉が、ゴブリンを直撃する。
ゴブリンの右肩がボール状にえぐれ、ゴブリンはその衝撃のまま後ろに倒れた。
そこにすかさず、トオルがゴブリンの頭部にショートソードをねじ込み止めを刺す。
「これで終わりかな?」
トオルはショートソードをゴブリンの頭から抜き去り鞘に戻した。
「だね、この辺りにはもう居ないみたい」
サラは魔術師レベル10で覚えるサーチを使い、辺りにもうゴブリンが居ない事を確認する。
サーチの魔法はシーフの使うスキルに似ていて、周りに居る魔物を察知出来る。
シーフのスキルは感知、MP無しで使用可。
シーフのスキルに比べMPは消費するが、使い勝手の良い魔法だ。
レベル10の魔法? そう2人は既に10までレベルを上げていたのだ。
トオルとサラは成長していた。
今も小さなゴブリンの集落を見つけ、10体ほどのゴブリンを殲滅させたとこだ。
パチパチパチ
シルが2人を拍手で労いながら
「なんかもう余裕〜」
それを見ていた俺も
「だな! それじゃあ魔石回収して休憩しようか」
3人で魔石を回収、ゴブリンの死体を1箇所に集め、サラがファイアーオールで焼却処分。
いや〜魔術師がいると、こういう時便利だよね〜
シルは放置して大丈夫と言うが、これから休憩するのに、他の魔物が寄って来たら面倒くさい。
以前訪れた沢に向かう。
トオルとサラもベタベタだ!
先にトオルが沢に飛び込んだ。
「きっもちいい! サラも早く来いよ」
トオル君……それはサラが可哀想だ……
「トオルが洗い終わったらサラ交代な、俺とトオルは離れた所にいるからシル、サラと一緒に居てやってくれ」
トオルが沢から上がると、シルが風魔法でトオルを乾かしていた。
「ちょいちょいシルさんや……そんな事俺にはしてくれませんでしたが?」
シルは親指立てながら
「濡れてるケンヤもカッコよかったよ! グッ」
そして俺に風引けと……
「じゃあケンヤさん私も洗ってきます」
サラが沢に向かう為、俺とトオルは少し移動しようとすると、シルが俺に向かって
「覗いちゃダメだよ?」
い、いやロリコンじゃね〜し!!
少し離れた場所で俺はトオルに、朝買ったショートソードの使い心地について聞いてみた。
トオルは目をキラキラさせて話し出す。
「ケンヤさん、コレ凄いです! 軽くて扱い易いし、何体ゴブリン倒しても、全然切れ味が落ちないんです!」
ふむ、ショートソードをトオルから借りる。
「切れ味が落ちないか……特別な技法で作ってるのか、素材が違うのか、見た目では分からないな」
ショートソードをトオルに返す。
「何にせよあの値段でこの性能は破格だな! 一桁違ってもおかしくない」
ドワーフさん大丈夫か?
「はい! もう武器の心配はしないですみます」
そんな話しをしてると
「おっまたっせ〜」
「おまたせしました」
シルとサラが帰ってきた。
「ケンヤ〜なんで覗きに来ないのよ! つまんない、何我慢してんの?」
……シルさん
「わ、私ケンヤさんになら覗かれても……」
こ、こら! サラまで何言ってやがる……
それを聞いていたトオルは
「ケンヤさん……軽蔑して良いですか?」
……サラもトオルも大分俺達のノリに感化されてる様だ。
「ご、ゴホン、とりあえずメシにするぞ!」
実はオリバさんに無理言って、弁当を作って貰っていたのだ。
弁当をほうばりながらサラが
「こうして皆でお弁当食べると、なんかピクニックにきたみたいですね」
既に食べ終えてるトオルは
「北の森でピクニックって、有り得ないですけどね」
だね〜
そうだサラのローブも話し聞かなきゃ。
「トオルにも剣の具合聞いたけど、サラのそのローブはどんな感じだ?」
サラのローブをまじまじ見てると……またシルが
「ケンヤ……そんなにサラちゃんを……」
シル……どうしても俺を幼女趣味の、ロリコンにしたてあげたいのね……
「わ、私ケンヤさんになら……」
「ケンヤさん、やっぱり軽蔑しても良いですか?」
何故お前達が天丼知ってる!!
「ケラケラケラ」
……3人共帰ったら正座させて説教だな。
「ご、ごほん、えっとこのローブですが、お兄ちゃんが盾になってくれてたので、まだ攻撃を受けてないから防御力は分からないんですけど、MPが少し増えてるのと、魔法の威力が上がった様な気がします」
ふむ……って、それ凄くない?
そう言えばシルが、何かの付与が付いてるって言ってたな。
「シル、なんの付与が付いてるか分かるか?」
シルは「う〜ん」と悩んで
「わっかんない!ビシ」
あっそ……
「けどね、確かになんかの魔力は感じるよ! それ程強くはないけどね〜」
最初からそう言いなさい!
「なんにせよ、このローブもあんな金額じゃ買える代物じゃないってことか」
ドワーフ夫妻に感謝だな!
「トオルもサラも次店に行った時に、もう一度ちゃんとお礼言うんだぞ」
「はい!!」
ウンウン良い子達です!
ってな訳でレベルも上がったし、魔石もギルド長が呆れそうなぐらい集めた、ぼちぼち帰ろうかと俺が思っていたら
「何か来ます!」
サラのサーチに何か引っかかった様だ。
「俺が確認してくる」
サチの指差す方に約500mほど行くと、3体のオーガを見つけた。
(ラッキー! 俺が倒してトオルとサラの経験値にしてくれる!)
たとえオーガ3体と言えど、ケンヤにとってはただの雑魚なのである。
ふと気配を感じ振り返ると、トオルとサラが此方に向かって来ていた。
あらら……ついてきちゃった。
オーガ3体を見て2人共目を見開いている。
「ケンヤさん……あれオーガですよね?」
俺が頷くとサラが
「私オーガ初めて見ました。」
そりゃ北の森になんて初めて来ただろしね。
「俺が3体共倒すからお前達は見てなさい」
俺がそう言うとトオルが
「あ、あの……ケンヤさん、一体残してくれませんか?」
えっ?
「わ、私も自分がオーガに通用するか試してみたいです!」
……
「ダメだ! 死ぬぞ?」
2人は珍しく俺が強く言った事に動揺している。
「レベル10でオーガは無理!! お前達……、ゴブリン倒せる様になったからって調子乗ってるだろ!」
気持ちは分かる! だが、ゲームでもある程度レベル上がって、周辺の魔物楽勝〜!って思ってダンジョン行ったら、一瞬で死んでしまうパターン。
俺も最初はよくあった。
ゲームだからリセット出来たり、復活するアイテム手に入ったりするけど……ここはゲームじゃないからね〜
せめて後レベル5上がればやらせても良いけど、今は多分瞬殺されちゃう。
ただ……トオルもサラも納得していない様だ。
さて……困っな。
するとシルが
「ケンヤ〜、ゴブリンとオーガの違い解らせてあげようよ! ケンヤなら出来るんじゃないの〜?」
シルさんニヤニヤして俺を見ない!
溜息をつき
「仕方ない……最初俺が2体倒し、1体だけ死なない程度にダメージを与える。お前ら達は其れの相手をしろ!」
2人は渋々頷いたが、自分達の力を認めてくれなくて、少し涙目になっている。
あらら……拗ねちゃったかな?
苦笑しながらロングソードを抜き、ゆっくりとオーガに近付く。
オーガ達は俺に気付き3体一斉に向かって来た。
オーガの1体が振り下ろす棍棒を、軽く躱しながらロングソードを真横に走らせ、そのままもう1体の後ろに回り込み肩口から脇腹に振るう!
オーガ2体が両断されていた。
仲間のオーガが一瞬で倒れた事が、理解出来ない最後の1体。
そのオーガにまるで警戒心なさげにケンヤは近づき
(お願いだから死なないでね)
スライムより少し強めにデコピン!
「ズドン!!」
糸が切れた様にオーガはその場で崩れ落ちた。
「やば! 死んじゃったかな?」
オーガの頭を足で小突いてみる。
「あ、あれ? 動かな……動いた! 良かった」
オーガは一瞬気を失っていたようだか、今は何とか立ち上がろうともがいていた。
ケンヤは振り返り
「お〜い! おいで〜、コイツ倒してみろ」
トオルとサラは唖然としながらもオーガに向かって行く。
俺は後ろに下がり見守る事にする。
するとシルが
「ケンヤ……むちゃくちゃね……」
はて? なんの事やら。
2人がオーガと対峙する。
オーガは何とか起き上がるが、まだ今の状況が飲み込めて居ないようだ。
トオルは軽戦士! 通常の戦士よりスピードに長けている。
一気にオーガの側面に滑る様に移動し、ショートソードを振るうがオーガは手でガードし、反対の手に持つ棍棒でトオルに殴りかかった!
(ヤバイ!!)
トオルは飛び退く。
そこへオーガの追撃をさせない様に、サラの放ったファイアーボールがオーガを直撃した。
トオルとサラは一旦距離を取り、オーガに与えたダメージを確認したが……
トオルは
(なっ! ガードした腕、皮膚を切ったたげで肉に届いてない!)
サラも
(なんで! 皮膚に少し火傷の後があるだけなんて!)
トオルもサラも、オーガの防御力の高さに驚愕する。
自分達の攻撃が全く効いていない事に恐怖を覚え、ガタガタと震えだした。
オーガは2人が怯えている事を察知したのだろう、いやらしい笑みを浮かべながら近づいてくる。
恐怖からかその場に座り込み、涙を流しながらケンヤに目で助けを求めた。
「ここまでだな……」
ケンヤは走り出すと2人とオーガの間に入り、無造作にオーガの喉元へロングソードを突き刺した。
「ゴブリンとオーガの違い理解できたか?」
オーガの恐怖で頭が真っ白になっていたトオルとサラ。
ケンヤの声と姿にようやく我に返る。
死を間近に感じた恐怖、ケンヤの声を聞いての安心感、言うことを聞かずこんな事になり、ケンヤに嫌われたのではという不安、色んな感情が吹き出し、トオルとサラはケンヤに抱きつき号泣する。
シルはそんな2人の様子を見て
「ケンヤ〜ちょっとやり過ぎたんじゃない?」
お前がやれって言ったんじゃね〜か!
しかし……
まだトオルもサラも12歳だもんな、そりゃ好奇心にかられる事もあるだろう。
もっと上手な方法もあったかも知れない……反省
「ほら! 2人共、もう泣きやめって、俺もやり過ぎたスマン」
そう言うとトオルとサラはぱっと顔を上げ
「ケンヤさんは何も悪くないです! 俺達がワガママいったから」
「ケンヤさん! ごめんなさい」
また泣き出してしまった……
2人の頭をクシャクシャに撫で
「もう気にすんな! すぐ暗くなる帰るぞ」
帰る道すがらトオルとサラが
「あ、あのケンヤさん……」
「ん? どうした?」
「ま、まだ、私達の師匠でいてくれますか?」
俺は苦笑し
「当たり前だろ! お前達を世界最強にしないといけないからな!!」
「「はい! 世界最強に成ります!!」」
まだ目は赤いがトオルとサラに笑顔が戻っていた。
短い反抗期でしたw




