3/3
子供
連載は慣れんさい
セミを持った子供はセミを掲げ「スマッシュ!」とヒーローの物真似を始めた。
あるヒーローモノにそういうシーンがあるのだ。
「ゲット!」と言うと子供は光を放つ。
(何だ!? まさか……)
子供は黒いキャベツみたいなものになった。どこか禍禍しい。
「何だこれは……」私は戦慄した。未だかつて見たことのない奇妙な生物に。
その私に向かって黒いキャベツが転がって来た。
ガンッ。私はその一撃を食らってしまう。
しかし軽い。ダメージなどほとんどない。
するとキャベツの影からひょいっと誰かが顔を覗かせた。
「ごめーん」さっきセミをあげた子供だった。
「これは……? ガム?」触ってみると風船状のガムだった。
(そういえばさっきから葡萄の匂いがしてたなあ)
それにしても何てでかいガムだ。
私の背より高い。
子供は「命があったらまた会おう」とキャベツを転がしていった。