セミ
連載向いてないかも
「お前は、誰だ?」私は長身の男に尋ねた。
長身の男は怯えたような顔をした。「すいません、人違いでした」男はペコリと頭を下げると人の流れに消えていった。
なんだ人違いか、と私も歩き出す。
何事もなく終わったかに見えたその時。
ポタポタッ。滴が降りかかる。
なにかと思って辺りを見回すと、隣に立っていた電柱に1匹、セミがいた。
「ケケッ、やつは俺に操られていたにすぎん」セミは笑った。
私はそのセミを手に取ると「んなわけあるか」と怒鳴り空へ放り投げる。わざわざ手の届くところにいるとは迂闊な奴だ。
セミは「次はもっとマシな嘘考えてやるからな」と吐き捨てて飛び去っていった。
(やっぱり嘘なのか)
つまらない奴を倒してしまった。
だがこんな奴でも勝ちは勝ちである。
しかし────
カラン、と音がして振り替えると。
フォークが落ちていた。降ってきたのはこいつらしい。
「ケケッ、ここなら届くまい」セミは数メートル上空を飛び回っている。
(確かに手が届かないな)
私は攻撃魔法を使う事にした。フォークを拾うとセミに投げ……もとい発動する。
セミはそれをかわし「当たるわけねーだろ」と挑発。挑発系魔法の効果で私の冷静さが下げられてしまった。
私は店先に展示されている虫取り網を何本もつかんで振り回した。
周囲の人か網の柄に叩かれる。
冷静さを取り戻した私はセミを無視する作戦に出た。
これで近づいて来るはずである。
「ケケッ、その手には乗らんぞ」
と言いながら突進してくるセミ。私はそれを網で捕らえた。
華麗な勝利だった。
「ちょーだい」子供が吸収系魔法を私に飛ばす。
私はセミをその子供に渡した。