永久機関?
「だめだ・・・」
何も見つからない。
そう簡単に見つからないだろうとは思っていたが、心のどこかで期待していたのだろう。
心がだいぶ折れかけている。
ふくらはぎも足の裏も痛い。
これ以上進んでは戻れなくなると判断し、歩いてきた道を戻ることにした。
戻っている途中、急に小便がしたくなった。
喉は渇いてカラカラのはずなのに小便は出るんだなと感心した。
ここで俺はあることに気付く。
「水じゃん・・・!」
尿も水分なのだ。
たしか遭難したら尿を飲んで生き延びたという話も聞いたことがあるような・・・
さすがに自分の飲むのは抵抗がある。
だがそうも言っていられない状況なのだということは重々理解している。
「やるか・・・」
俺は覚悟を決めた。
林の中で下半身を出し、股間の前に両手で受け皿をつくる。
ジョボボボボ・・・
手に温かいものが貯まる。
出し切ると手に貯めた尿をこぼれないように口まで持ってくる。
ごくっごくっ
水が喉を通る感覚がわかる。
じわじわと潤っていく感じだ。
「ふぅ・・・」
手についた尿を振りながら乾かす。
飲んでみて思ったことがある。
しょっぱい。
海水に比べたら全然ましだが。
だが喉が潤ったのは確かだ。
不思議と嫌悪感はない。
むしろ水が飲めたという嬉しさの方が強い。