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虫
それにしても虫が多い。
俺は虫が大嫌いだ。
つまりこの林の中という状況は俺にとって地獄なのだ。
幸い肌が隠れる服のおかげでなんとか正気を保っているが、これが半袖に半ズボンであったらすぐに発狂していただろう。
「うわっ!!!!!!」
俺は悲鳴をあげた。
落ち葉の中で何か大きなものが跳ねた。
俺は何かが動いたところをじっと見つめながら後ろに距離を取る。
「なんだ・・・」
正体はカエルだった。
茶色くて結構大きめのカエル。
カエルは直接攻撃してこないことは知っている。
俺はほっと安心し、木の実探索を続ける。
枝の先を注意深く見て歩いているが一向に見つからない。
たまにそれらしきものを見つけても背の高い木で採取ができない。
足も疲れてきた。
何年も運動をしていない体だ。
自分に体力がないことを後悔した。
休みたいが虫の多いこんなところで座りたくはない。
俺は歩を進めることにした。