水
喉が渇いた・・・
先ほどスマホを見たときに確認したが、今は5月10日の13時10分らしい。
まだ春だというのにこの照りつける日差しのせいか、異様に喉が渇く。
まずは水を確保しなければ。
・・・本当にこれは海なのだろうか?
ふと疑問がわいてくる。
暑さと喉の渇きで冷静な判断ができなくなっていたのだろう。
これは人工の海なのではないか?
誰かが俺をここに連れてきたとしても水も何もなしに放置するわけがない。
この水はもしかしたら飲めるのでは?
1回そう思ってしまうと思考が全てそれで埋め尽くされる。
サバイバルをする上で海の水は絶対にそのまま飲んではいけないことは知っている。
だが大丈夫だろうと感情が俺を飲み込む。
もし本物の海だったとしても一舐めであれば大丈夫なはずだ。
そう思い俺は波打ち際まで行き、指に水を付けて舐めた。
ガハッ
失敗した・・・!
喉の奥が塩辛くて熱い・・・!
それは本物の海水だった。
さっき以上の喉の渇きが俺を襲う。
必死に唾液を出しては飲み込み喉の塩辛さをなくす。
なんとか口の中の塩辛さは薄まったが、喉が渇いているのは依然変わらない。
水をどうにかして調達しなければ。
俺はある考えが浮かぶ。
調べればいいんだ。
せっかくスマホがあるのだから水の手に入れ方を調べればいい。
まさかそのために用意されたスマホなのだろうか・・・
そんな気持ちが襲ってくるが、今は1秒でも早く水を入手することが大事だ。
『遭難 水』
そう調べるとたくさん水の入手法が出てきた。
その中でも海でできるものを調べる。
・蒸留水
火や太陽光を使って海水から真水を作ることができる。
今の何も持っていない俺の状況ではもってこいの方法だが、太陽光だとかなり時間がかかるらしい。
後々必要になるだろうが、今すぐに水がほしい俺は蒸留水を後回しにした。
・石ころを舐める
石ころを舐めると唾液が出てくるのだそうだ。
少し抵抗があるが、とりあえずはこの方法でしのぐしかないだろうか・・・。
・木の実や水分を含んだ植物の茎から摂取する
これが一番堅実だろうか。
俺は林の中に入って木の実などを探すことにした。