薬物混入カレー
美味しそうな匂いで目が覚めて、キッチンに向かうと入間がカレーを作っていた。
入間「もう起きてきたんですか?いいですよ、もっと寝てても。あともう少し掛かるので。」
天野「いや、起きとくよ」
入間「じゃあ急いで仕上げますね。」
ぎこちない空気に負けて、ソファに腰を落とした。
そして、特に何も会話がないまま時計は6時を回り、入間がカレーを運んできた。
天野「ごめん、手伝えばよかったな。」
入間「別にいいですよ。どうぞ食べてください。」
天野「次からは手伝うよ。じゃあ、いただきます。」
入間「いただきます。」
湯気がホワホワとスパイスの匂いを俺の鼻の中に運んでくる。
天野「うん、美味しい。でも苦くね?」
入間「…あー、たぶん焦げてしまったんだと思います。すみません。」
天野「まあいいか。」
カレーの辛さで、喉がヒリヒリしてきた。
本格的だなぁ。
…
天野さんがスプーンを口に運ぶ。
緊張の一瞬だ。
天野さんがすこし固まる。
胸がざわざわする。大丈夫かな?
「うん、美味しい。でも苦くね?」
なんだ、そんなことか。
「…あー、たぶん焦げてしまったんだと思います。すみません。」
よかった。天野さんって結構鈍感な人だ。
…彼岸花の球根10個刻んで入れて、コンプロット社の通称「幻覚薬」を入れておいたんだけど。あれ。それだけだったっけ、もっとなんか入れたはずだけど忘れちゃった。
まあ死にはしないでしょ。
ドタン
そんなことを思ってたら天野さん倒れちゃった。やば。
か弱いか弱い私に寝室まで運ばせるとか。天野さんって罪な男ねー。
あー、どうやって言い訳しよう。