奪われたFK
俺は部屋のベットで寝ている、女性を眺めていた。
女性は、公園で倒れてピクリとも動かなくなったので、見なかった事にして逃げようかと思ったのだが。
俺の名前も呼んでいたし、しかも素っ裸だし、ほおっておくことができずに結局、俺が着ていたYシャツを着させて公園から自宅まで、おぶって家まで帰っきた。
幸い家族も仕事で帰って来ないし、妹は留学中、家にいるのは俺一人だ。
第三者から見たらおいしい展開だと思うが、とてつもなく嫌な予感がしたので、ぐっとこらえている。そもそも彼女すら出来た事がない俺ができるわけがない。
「さて、どうしたものか」
ベッドを占領している彼女は、倒れてから一向に目覚める気配がない。
ていうか、死んでる・・・?恐る恐る近づいて見てみたが、息はしている。
あっ!そおいえば咲はどおしたんだろ、あの光に脅えてたしい勝手に帰ったのかな?
明日にでも聞いてみるか。・・・咲の事さっぱり忘れてた俺ってどうなのよ。
とりあえず起きる気配もないし、少し寝てから考えるか。
昨日の徹夜でもう体力の限界だ俺は眠い。
部屋で二人っきり・・・
寝れるかな・・・そんな事を考えながら床で寝ることにした。
<立花家>
「さて、そろそろ和也の所にでも行こうかしら」
たぶん和也の事だから彼女を家に連れて行って、嫌らしい事もしていると思うし、その時は人生立ち直れないぐらい痛め付けてあげるんだけど。
「早苗、出掛ける準備をして」
「かしこまりました」
返事をしたのは咲の専属メイド金森早苗。
彼女は咲が小さい時に親父さんが、咲のメイドとして連れて来た。
何をしていたのか処生まれなのか、一切謎のままである。歳も教えてくれない。
だが咲はそんなこと構いなしに早苗に絶対的な信頼を置いている。
「そおいえば和也の家に行くのも何年ぶりかしらね、小さい時は結構遊びに行ってたのに」
「そおですね、昔のお嬢様は和也様の家に行くって、泣きながら駄々をこねていた時もございましたね」
「なっ早苗!!いきなり何を言い出すの!!」
たしかに私はいつも和也の家に行くんだって言って、お父様を困らせていたような・・・やだ、ちょっと緊張してきたわ。
「早苗、シャワーの準備をして」
「はい、至急準備いたします。殿方の家に行くのですものね、綺麗な体で行かなくては。うふふ」
早苗は笑みを膨らみながら風呂を沸かしに浴室の方に向かった。
「な、早苗、ななな、なっ何を言ってるの!!!あなたも行くのよ」
咲は顔が熱くなっているのを気付き心を落ち着かせ。
「もう、早苗たら」
最近、早苗にからかわれる事態を、メイドとしてどうなのよと考えてみたが、まあ楽しいから良いけど。
「・・・未来からの訪問者」
本当に予言が当たってしまった、これは・・・人類の滅亡が現実味になってきたわね。
この先どのようにしたらいいのかを考えながら、早苗に呼ばれたので浴室の方に進んだ。
<柊家>
「う~ん、いつの間にか寝てたのか?」
すごく体がだるい。
「あれ?」
おかしいな見渡す限り真っ暗だぞ?また夢を見ているのか?
(・・・・ンデ)
んっ!!
(ナン・・・ナン・デ)
何か聞こえるぞ?
辺りを見回しても、暗くて何も見えなし、人の気配がしない、声だけが聞こえる。
(・・・・ナンデ?)
はっ?
(ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?)
・・・うるさい。何回も連呼しやがって。
(ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?)
・・・いったいなんだよ。
その声を聞くと、とてもイラつく。
しかもこの声は昔聞いたことがある、でも思い出せない。
(・・・・・・ナンデ?、コワサナイ?)
え?
壊すって、何を?
(コワセバ、スベテガオワル)
だから何をだよ!!
(・・・・・・・・)
沈黙かよ。
「うっ!」
いきなり前から光が射した!
俺は夢の世界から解放され、部屋の蛍光灯の明かりが眩しい。
・・・体がだるい、しかも大量の冷汗を掻いている。
「今の夢・・・一体なんだったんだよ」
今回の夢は鮮明に記憶がある。クソ、寝起きは最悪だな。何が『ナンデ』だよふざけやがって。
床から立ち上がり、ベッドで寝ている彼女の顔を覗いて見た。
まだ寝ているか。
「やたらと、うなされていたが大丈夫か?」
「ああ、ムカつく夢を見てな」
「そうか」
大量に汗をかいたので、シャワーを浴びたくなり、部屋のドアノブに触れようとしたんだけど。
・・・あれ?今誰と喋ってた?
「何処に行こうとしてるのだ?」
んっまさか!
俺はベットで寝ている彼女の方へと、恐る恐る振り向く。
「どうした?」
彼女は何驚いているのかと、不思議そうな顔して俺を見ている。
「どわぁぁ!!!起きてる!?!?!?」
Yシャツからヒョッコリ盛り上がっている谷が二つ目覚めた・・・って違う~、彼女が起き上がり目の前に立っていた。
「失礼だな、起きてはいけない問題でもあるのか?」
「いや、問題はないんだけど、思春期の男子高校生には刺激がつよすぎる!!!」
俺は手で目隠しをして、指の隙間から彼女見続けていた、・・・なんてナイスバディーなんだぁ!!彼女は俺の可笑しな行動を見て、無表情な顔で。
「そうか?別に構わんだろう、アダムとイヴも最初は裸だったのだから」
訳が分からん、そこで何故その二人がでてくる?
「所で私はどのくらい止まっていた?」
「ん?たぶん5時間ぐらいかな?」
んっ?止まっていた?
疑問に思ったが、すぐに話し掛けられた。
「そうか。時間がないすぐに始めるぞ」
「え?何を、ちょっ、こっちくるな」
ちょっ谷が近づいて来る。
「契約を始める」
彼女はいきなり抱き着いて、日本語でもない何処かの言葉を喋りだしてきた。
「ちょっ胸が当たってる」
やっ軟らかい!!
「静かにしていろ、早く契約をしなければ、殺してしまう。」
「えっ?はっはいぃ!?」
殺すって、何でそんな物騒な言葉がでるんだよ。
「我はE‐002、柊和也の盾となりて、この身を授ける」
えっ!!授ける?あれ、体の回りから光が出てきたぞ、何?何?いきなりファンタジー?
「ちょっちょっと?どうなってんだ?」
「さあ契約の口づけを」
「口づけ・・・キス~!!」
ちょっ~何をいいだすだ~!?俺のファーストキスが契約って意味わからない名目で奪われるのか???
「ちょっと待て!!ストップストップ!!!!!」
俺は全力で抵抗したがもう遅かった・・・
「和也、時間がない契約だ」
「ちょっ!ムグ」
抵抗も空しく、無理矢理キスをされてしまい、あまりにも唐突な出来事で、頭の中が真っ白になっている。・・・彼女のキスはとても軟らかく冷たかった。
あ~ファーストキスが~。
「うっアツ!何をした」
体が、全身の血液が沸騰しているみたいだ、苦しい。
「ぐっ熱い、どうなってるんだ」
俺は立っていることもできず、壁にもたれかかった。
「大丈夫だ安心しろ、すぐに収まる。これで契約は無事に完了した。」
冗談だろ、何が大丈夫だよ。収まる処か体中の骨がギシギシ鳴ってるぞ。
痛みが10分ぐらい続き、ようやく痛みが収まって来たが!体のだるさが治らない。
「グッ!」
なんだ、一瞬、胸に痛みが、俺は痛みを耐えながら自分の胸を覗いて見る。
「なんじゃこりゃぁぁ!!!!」
胸の真ん中に模様が浮き出ていた!
「それは、契約の印しだ、私は和也の盾となった」
「はぁ?!」
まったく意味がわからん。
「ちゃんと説明してくれ」
彼女はため息をつきながら。
「私はこれからやってくる未来を変えるため、柊和也を守りに未来から来た」