第1話:桜
高校三年の春、今日は新しいクラスが張り出される日だ。新学期そうそう遅刻なんて出来ないから早めに起きた。昨日一日中降っていた雨も止み今日は綺麗に晴れている。起きてすぐにベット脇のカーテンを勢いよくあけついでに窓も開けると、窓から朝特有の清んだ空気とともに春の匂いがやわらかい朝日とともに部屋の中に入ってきた。
しばらくの間、窓辺に寄りかかり外を眺めていると、綺麗に咲いている小さな桜の木が目に入った。
昨日一日中降っていた雨でほとんどの桜の花びらは散ってしまっているのに、どうやらこの小さな桜は例外のようだ。
遠目から見ている私にも解るくらいにその桜は、花びらに溜った朝露を朝日が反射してキラキラと輝いている。
ぼーっと、目を奪われていた私だが隣の部屋の住民の目覚まし音でハッと、現実に戻された。 急いで時間を確かめると、どうやら結構な時間がたってしまっていたようだ。驚いた私は急いで顔を洗い見慣れた顔にいつもより少し念入りにメイクをする。そして、下ろし立ての制服に急いで腕を通し昨日の晩に用意してあった鞄を掴み外へ飛び出した。
携帯を開き時間を再び確かめると友達との待ち合わせの時間までなんとか間に合いそうだ。だが、念のために待ち合わせ場所まで走って行く事にした。
走って行くと、すでに友達は来ていた。
「おはよう♪久しぶりだね〜♪あいかわらず今日も綺麗だね。」
そう言ってきたのは、中学の時からの親友後藤舞。ピンクベージュのフワフワのショートにリス顔の笑顔の可愛い子だ。
「おはよう♪舞。朝から元気だね〜」
「えっ♪だって今日はクラスがえの日だも〜ん♪コンと同じクラスに為れたら嬉しいけど…何気に高ちゃんと一緒に為れたらいいな〜ってね♪」
「あ〜成程ね♪一緒に為れたらいいね」
「うん♪」
そんなたわい無い話しをしながら私は舞と一緒に学校にいつもと同じように、同じような話しをしながら向かった。