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ゴーストリコール 一話

作者: syake

初めて投稿をさせていただきます。執筆活動など今までしたことがありません。下手くそな文章、盛り上がりの無い展開、先に進まない話、拙い語彙などの見所がたくさん出てくると予想されます。くれぐれも貴重なお時間を無駄にしないようにお願いいたします。超、見切り発車的に開始した小説ですので、次話が遅れたり、自然消滅する危険性もありますのでご了承ください。

ご意見ご感想などはどんな内容でも、書いてもらえるとうれしいです。

私は家の付近を散策していただけだった。

あてもなく、ふらふらと、ただ白線上を歩いていた。

気がつけば、吸い込まれるように私の体は道路の中心へ。

そして中央のラインを過ぎ、今まで歩いていた歩道とは反対側の車線まで行くと、

ガァン、という大きな音と共に、私の体は宙に舞い上がった。



気がつくと私は直立していた。どうやら目指していた反対側の歩道に無事たどり着いたようだ。

目の前の歩道では何か騒ぎが起きているらしい。人だかりが出来ている。救急車が赤いランプを光らせ、横にはパトカーも止まっていた。

私はまるで久しぶりに地球に帰還し、歩き方を忘れてしまった宇宙飛行士のようにたどたどしい足取りで、人だかりに向かっていく。

人混みを掻き分けることなくその中心にたどり着くと、

そこには赤いパーカーを着た少女が、血まみれで倒れていた。

私のようだった。

私はそれを見るなり戦慄した。そして途端に視界が狭くなり、私は後ろに倒れ、気を失った。



気がつくと歩道に寝転んでいた。首を右に向けると私がよく利用するコンビ二があった。いつもレジでよく会う店員さんの、可愛らしい笑顔が思い浮かぶ。

倒れている私の隣には、黒いビジネススーツの男が車道のほうを見ながら携帯片手に誰かと話をしていた。

よくみるとその男は黒い帯のついたシルクハットのような帽子を被っている。しかしコスプレのように浮いているわけではなく、服装とマッチしてよく似合っていた。

「ええ、午前11時34分ちょうどが、彼女の死亡時刻です。」「・・・そうですね、おそらく天界行きでしょう。まぁ管轄外ですから。」「・・・はい、分かりました。じゃ指定の手順を踏んで、彼女を誘導します。」

男の話し声が聞こえる。仕事の話だろうか。だとするとさっきの事故か・・・。天界行きって何?

事故。あの現場にあったものを思い出した。

あそこに倒れていたものは紛れも無く私だった。いやもしかしたら服装髪型顔までそっくりな他人かもしれないが。今日私も赤いパーカーを着て出掛けてきたのを覚えている。現場では血まみれで、パーカーの色なのか血なのか判別つかない状態になっていたが。

はっとしておもわず私は自分の体を見た。赤いパーカーを着ている。血は付いていない。事故でボロボロになってもいない。体に痛みなども無い。

そういえばいつのまにかここはさっきの出来事の現場から、遠く離れた場所だ。あれはなんだったのか。幻覚?こういう幻覚を見るとあとあとまで引きずって、心に変な傷が残りそうで恐い。

いつの間にか男は携帯の電源を切っていた。すると男は倒れている私のほうに向かってきた。

桜井美奈子さくらいみなこちゃんだね?」

私の頭の近くまでくると男の人は私の名前を呼んだ。なぜ知ってる。ついでによく見ると思ったより顔が若い。

「私の名前はレイ。天界の指令に従って君を迎えに来たんだ。」突然の電波発言。

「受け入れにくい事実かも知れないけど、君はさっきの交通事故で死んでしまったんだ。これから私の言うことをよく聞いてほしい。」

男はしれっと言った。私はなんの冗談、と思った。私が死んだ?なにそれ。生きてるじゃない。ものも考えられるし。しかしさっきの出来事のせいでそう言われたのが引っかかってくる。

男が倒れている私に手を差し伸べてきた。私が反射的にその手につかまろうとしたそのとき。

右手に体重を乗せた私の体はバランスを崩し、コンクリートの地面にぶつかった。手には何も触れた感触が無かった。

気が付けば男の手は、眼前にまで差し伸べられている。その手に触れられなかったのだ、私は。

「すまない、大体みんなこれで気が付くんだ。自らの死を受け入れられない人も多いからね。手っ取り早い方法を取ってる。君の場合はちょっとひどかったかもね。ゴメン」

男はそう謝ると手を引っ込めた。

私は呆然とした。死んでしまった?本当に?死んだらどうなるの?いやもしかしたらさっきのは手品かもしれないし。

伏せたままの姿勢で困惑した思考を巡らす私の隣に、雀らしき鳥が一匹たたずんでいた。こんな近くに、いやに人懐っこい野鳥だ。

私は手を伸ばしてみた。野鳥は反応しない。そのまま指でつつこうとしてみた。

すると私の人指し指は野鳥にめり込むようにして無くなってしまった。おもわず手を引っ込めると、そこにはちゃんと指があった。

野鳥は相変わらずそこにたたずんでいた。

よく見ると、通行人達も、私たちに気づかない様子だった。まるで彼らは別次元の住人であるかのように私の格好や、動きに、関与しない。

私の頭は混乱に襲われた。口を力無く少しだけ開けて、私はしばらく活動を停止していた。しかし心の奥底では身に起きた事態を理解したかのように、悲しい感情が沸いてきていた。そしてそれに呼応するかのように目から涙がこぼれた。

私はどうなるの?これからどうするの?どこに行くの・・・?家に帰れるの?

呆然と考えていたとき、私に事実を突きつけた彼が、私に言った。

「今の君は思念体なんだ。肉体が死に、魂が乖離した状態。君の姿は一般人の誰にも見えないし、触れられもしないんだ。」

「君はこれから私についてきて、霊魂の間に行き、そこで天界に行けるか地獄に堕ちるか神様の審判を受けるんだ。安心しなよ君はきっと天界行きだから。死んだ人間は必ず審判を受けなきゃいけない。でなければ浮遊霊になってしまうからね。」

「残念だけど、家族や友人とはここでお別れだ。別れの挨拶もできない。第一向こうには君の姿も声も届かないけどね。しかしお盆になったら会えるよ。」

「悪いけど、いやだと言っても君が納得して付いてくるまで一緒にいるよ。時間はいくらでもあるからね。」

私の考えた展開の、最悪なほうをなぞるように、彼は説明しだした。もう、家族と会うことも出来ない。友達にも。そして私は天界というところに連れて行かれるらしい。

「どうする?じっくり考えていい。」

選択肢は一つしかないにも関わらず彼はそんなことを言う。

「イヤです。」

私は即答で言った。

「そんなとこ、行きたくありません。家に、帰して・・・。友達に会わせて・・・。」

涙まじりの声で、そう言った。

「そうか。」

彼は腰に手を当て、ため息をつきながらつぶやいた。その後背伸びをして、肩の骨を鳴らしながら念を押すように言った。

「時間はいくらでもあるからね。」

そういうと彼はすぐそこのコンビ二へ向かった。自動ドアが開き、中に入っていった。

そういえば彼の姿はどうなのだろう。さっき私といるときは、彼の様子も誰にも見えていないようだったが。

彼はレジに品物を出すと、店員さんがそれを受け取っていた。私が行くといつも会う、あの笑顔が可愛らしい店員さんだ。しかし私よりは年上で、大学生にも見える。

お金を払い、品物を受け取ると彼は店を出てきた。

「ごめん、昼ご飯だよ。どうやらこれから付きっきりで君の説得に当たらないといけないようだし、私も人間だし、お腹すくからね。」

なにやら私はデリカシーが無いように感じた。そして嫌な予感もした。

「君は食事をとる必要はないんだ。お腹は空かないはずだし。」

予感は当たった。彼の買ってきたしょうが焼き弁当を見ても、私は食欲が沸かない。私は肉料理が大好きであるのに。リアル肉食系女子なのに。

「あ、私は仕事に当たっている間は姿を他人に自由に見せたり、君のような思念体にしか見られないようにすることが出来るんだよね。」

一瞬完全に肉のほうに頭がいっていた私に、気になっていた情報が飛んできた。

そうなのか。ずいぶん便利な能力だ。万引きもし放題じゃないか。銭湯ものぞき放題だし。って漫画か。

そんな都合のいい能力があるならば、と私は彼に聞いてみた。

「あの、私が生き返ったりは出来ないですか・・・?」

「んにゃ、無理。」

即答だった。



私達は並んで歩道を歩いていた。私たちの姿は誰にも見えず、正面から人が来ても気づいてくれない。私が毎回あわててどいた。思念体なので別にどかなくてもいいらしいが、人と重なってすれ違う感覚というは頭がおかしくなりそうだったので出来るだけ避けた。彼は平然と人をすり抜けて歩いていた。

見慣れた道、いつも通学に使っている道だ。私はこのあたりに一つだけある高校へと通っている。他に近くの高校といえば、みんな他県にあるのでこの町の子どもはみんな私の高校へと通うのが普通だ。

十字路を挟んで遠巻きから、高校のグラウンドが見えた。グラウンドでは野球部が夏の某全国大会に向けて練習を重ねている姿が見える。毎年惜しくも出場は逃しているが。

野球のコートの隣にはバレーボールのコートが見えた。ゲームをしているらしく、裕子ゆうこが今まさにサーブを打とうとしている。裕子は、私の幼馴染の友人である。

サーブは相手コートの左隅に突き刺さり、裕子は得意げな顔でガッツポーズして歩いてた。

遠巻きから見ていた私はまた急に、涙が出てきた。もう裕子とも会えないんだ。友達にも、先生にも、ちょっと気になってた同級生の河合かわい君にも、そう思うと涙がとめどなく出てきた。

彼は私の近くで、心配そうに見つめていた。私は、大丈夫だから、と言って、涙を拭って正面を向いて歩き始めた。

もう夕方である。数時間前、私はずっと泣きじゃくっていた。突然に自分の死を告げられて、それを受け入れろと言われても、無理だろう。あの場にしゃがみこんで泣いていた。

しかしいつの間にか涙は枯れ、心は無性に寂しかったが、やらなければならないことがある、と思い始めた。

私は彼にどうやって天国に、もとい天界に行けるか審判する霊魂の間に行くのか尋ねた。すると彼は驚くべき方法を言った。

「君の家の、君の部屋のベッドに寝るんだ。そうすると気が付けば霊魂の間にいる。」

というのだ。それで私は今家路をたどっているというわけだ。

ついに家にたどり着いた。辺りは少し薄暗くなり始めている。家の門をくぐると玄関のドアは開いていた。彼とともに家に入ると、一階の居間には電気が付いていて、今年中学一年生になる妹が宿題をしていた。私の立てる物音は、人に聞こえるらしいので、私は慎重な足取りで私の部屋のある二階への部屋を昇った。

私の部屋は相変わらずだった。筆記用具以外ほとんどものが乗ってない机。マンガに占領され、わずかにある参考書が、今にも押しつぶされんとしている本棚。昔UFOキャッチャーで獲った、「くろひげくん」なる全身真っ黒で毛むくじゃらの中に目がある、謎のぬいぐるみが乗ったベッド。布団が丁寧に敷かれていた。

私はあまり辺りを見ないようにした。見ればまるで、そこから記憶が入り込んでくるように思い出されるからだ。

私は死んでしまった。その事実を受け入れる。

正直気持ち的にはかなり無茶をしていると思うが、仕方の無いことだ、大人しく私は天界に行くと自分に言い聞かせる。大丈夫。お盆にはみんなに会える。

私は自らの死を告げられたときと同じように、気持ちのダムがまた決壊寸前になってきたので、ベッドの上にさっさと横たわった。

彼はベッドの脇から私を見て、私の肩に触れながら、目をつぶって、と言った。

私は言われた通りに目をつぶった。

私の疲れきった意識は、深い闇の中へ、沈み込むようにして落ちていった。



目が覚めると携帯の着信音が鳴り響いていた。部屋の電気は消えていた。

私のそばでしゃがみこんでいた彼が、携帯を取り出し着信に出た。

「もしもし、・・・どうなってるんです。」

私は何かおかしいと思った。ここは霊魂の間?いいえどうみても私の部屋です。

「ええ・・・ええ・・・何、霊魂の間が受け入れを拒否した?」

事態がよく、わからない。寝てれば天国にいけるんじゃなかったの?

「・・・幸福指数と不幸指数が噛み合ってない・・・と。」

どういうこと?

そして彼は驚いたような表情でこちらを見た。

「ゴースト・リコールですって・・・この子が!?」

まったく話が読めない。

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