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ギルドにて


『私、魔王じゃありません? 商人少女』

商人少女は、今日も平和に商売をしていた。

……はずだった。

「この“魔力回復ポーション”、飲んだ瞬間に周囲の魔物がひれ伏すんですが」 「副作用ですね。たぶん」 「たぶんで流すな!!」

ギルド職員が机を叩く。 その横で、商人少女はいつも通り首をかしげる。

「でも売れましたよ?“魔王の祝福ポーション”って名前にしたら」

その瞬間、ギルド内が静まり返った。

「……今、“魔王の祝福”って言いました?」 「言いましたけど」 「それ公式に敵対認定されるやつ!!」

しかし問題はそこではなかった。

外ではすでに――

「魔王軍が動いたぞ!!」 「いや待て、軍勢が“行商隊”を護衛してる!?」 「しかもその中心、あの商人少女だ!!」

完全に誤解である。

本人はただ、荷物を守るために魔物を雇っているだけ。 ただそれだけ。

そこへ、冒険者パーティが突入する。

「魔王よ!ここで討つ!!」

「えっ、私、ただの商人ですけど」

「魔王が“ただの商人です”とか言うのが一番怖いんだよ!!」

理不尽だった。

その頃、森の奥。

魔狼は静かに報告していた。

『主人、また“魔王認定”が更新されました』 「更新制なんだ……」

商人少女は遠い目をした。

「私、ほんとに魔王じゃないんだけどなぁ……」

その背後で、村が一つ発展していた。 彼女の商材だけで。

そして誰も、それを偶然だとは思わなかった。


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