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紅い筏葛

作者: れんこん

揺れる白いカーテン

今思い返す

愚かでしかない

彼との恋

彼だけへの乞い


憂鬱に溺れ

雨などどうでも良い

同じく哀れな人へ傘を差し出した

哀れな人、それは

差し出した途端

紅く染まり一時立ち止まっていた

奇妙なものだった

━━━━━━━━━━━━━━━

憂鬱をはらす切っ掛けが出来た

憂鬱をはらす――。

彼と出会ったのだ

笑みを零しながら話しかける彼

咲いている筏葛

静寂した木々の間

途端に木霊する蝉の声

堕ちる音がした――。

其れを恋と知るのは間違いだった事

気づかずにいた

━━━━━━━━━━━━━━━

彼との会話

花言葉から始まった

あの時偶然に咲いていた筏葛

深まった仲は砂糖をも溶かす甘さだった

しかし其の甘さは害でしか無かった

自分だけの甘さ――。

━━━━━━━━━━━━━━━

偶然を期待

華を纏い

火の花が舞い落ちる空へ踏み出した

彼と遭遇した

してしまった

彼の声は癒すと同時

何か壊す様な音がした

無数の影に飲み込まれながらも彼しか見えなかった

私の事など目にもない彼しか――。

━━━━━━━━━━━━━━━

色々な風が吹く中

積もった曖を伝えたかった――。

愛と引き換えに聴こえるもの

其れは身が割れる程辛い

聞く事を望んでいる筈の無いものだった

周りなど見えるはずが無い

彼が生きる価値だった世界

もう価値が無くなった

生きる意味など無い世界

何が何だか分からず

腹立つ程に清々しく見守る空を睨みながら

蒼空を飛んだ

最期にまだ想いを伝えながら






目が覚めた

白でしかない孤独な病室

考えたのは彼の事だった


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― 新着の感想 ―
[良い点] 表現が凄い綺麗だと思うで。 [一言] 明日(26日)に投稿するで。
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