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転生アラサー警察官、王子殿下を守ります!  作者: 音威ジュン
第一章 暗殺編
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9.疑惑の人物

 私はエドワード殿下と離れて、エミリーと壁際(かべぎわ)で飲み物を飲みながらお(しゃべ)りしていた。

 先ほどと違いご令嬢たちの視線はエドワード殿下に注がれている。

 そんな中、なんとなく誰かに見られているような気がするが、よくわからない。誰か私を観察しているのか?

 私ではなく、エミリーを見ているということもあるが……。

 そこへお兄様がやってきて、

「やっとご令嬢達から解放されたよ、エミリー。今夜はもう君を一人にはしないからね」

 とエミリーの手を取り口づける。

(お兄様ってエミリーに対しては、恥ずかしげもなく結構キザなこと言うのよね)

 そう思いながら、お邪魔(じゃま)(むし)になるのもイヤなので、二人にダンスを(すす)めると

「では、一曲踊っていただけますか」

 とお兄様がエミリーの手を取ってフロアに進み出た。

 こうみえて、お兄様も結構ご令嬢たちに人気があるので、エミリーを(にら)むご令嬢たちの視線が鋭い。

 エミリーは私と違って、周りのご令嬢たちに、

(うらや)ましいでしょう」

 と言わんばかりに得意げな顔になる。

 その顔もまたかわいいので、お兄様はすっかりエミリーに夢中で、周りのご令嬢など目に入っていない様子だ。

 そんな二人の幸せそうな顔を見ていると、私まで幸せな気持ちになるのだった。


 私が一人になっても先ほどの視線は感じる。やはり私を見ているのだろう。

 ふと隣を見ると、オスカー様とカールがいつの間にか私の隣に来ていた。

「二人ともご令嬢達とのダンスはもう済みましたの?」

 そう聞くと、

「ああ、やっと抜けられた」

 とオスカー様。

「僕は兄さんほどではないからね」

 とカールが答える。

「その中には気になるご令嬢はいませんの? 決まった方がいらっしゃれば、騒ぐご令嬢も減るのではないですか?」

 そう言うと、

「そう簡単に決められるものではないよ」

 とオスカー様は言うが、誰か心に想う人でもいるのだろうか。

「カールは好きな人とかいないの?」

 そう(たず)ねると、

「そんなのはいない」

 とぶっきらぼうに答える。

 二人とも婚約者がいないのでフリーの状態だ。エドワード殿下やお兄様以上にご令嬢たちのアピール攻撃(こうげき)がすごいが、まだ婚約者を決める気はないようだ。


 私はふと二人に、

「さっきから誰かに見られているような気がするのだけど、誰が見ているのかわかるかしら?」

 と聞いてみた。

 するとオスカー様が

「多分あれはリード子爵だ」

 と教えてくれた。



 エドワードはシルフィと離れてダンスを待つご令嬢たちの所に向かった。

 このご令嬢たちの中にシルフィに害をなすものはいるのだろうか?

 いや本人は知らされず、親が勝手に行動している場合もあるだろう。

 相変わらず鋭い目つきで、ダンスを踊るご令嬢たちを観察しつつ、周りにも視線を走らせてみるのだった。

 あの日、レイとオスカーを呼び出した者はわかっている。

 だが、今その者の姿は見えない。

 レイやオスカーにもシルフィを見ていてくれるように頼んではあるが、二人ともご令嬢たちにはなかなかの人気だ。取り囲まれればすぐには動けないだろう。

 チラッとシルフィに視線を向けると、オスカーとカールがシルフィと一緒に居るのが見えた。

 あの二人がいれば安心だ。と思うのだが自分は一緒にいられないのに、あの二人が一緒にいるのがなんだか腹立たしくなる。

 義務で踊るダンスにエドワードは気もそぞろになるのだった。

読んでいただいて、ありがとうございます。


誤字脱字報告、ありがとうございます。さっそく修正しました。


なるべく漢字にルビを付けようと思っていますが、付ける漢字に明確な基準はありません。なので、付いていたり付いていなかったりしますが、あまり気にしないでいただけると、ありがたいです。

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