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転生アラサー警察官、王子殿下を守ります!  作者: 音威ジュン
第三章 留学生編
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17.シルフィを守りたい者達


 狙われているのは私だと判明した。だが本当に私を暗殺しようとしているのだろうか? 去年の事件もまだ記憶に新しいのに、直ぐに私を狙うだろうか? 私を暗殺した事がバレれば、それなりに重い罪に問われるだろう。まあ、まだ王族ではないので、極刑とまではいかないだろうが……。


 みんなにも、私とは別行動を取ってもらった方がいいだろう。私と居ると事件に巻き込まれかねないから。

 そう、みんなに伝えると、

「シルフィ一人じゃ危ないわ。何かあった時に一人では助けも呼べないじゃない」

 エミリーがそう言うと、

「そうね、シルフィアナさんが狙われていると分かったのに、貴方の(そば)を離れるわけにはいかないわね」

 と、バーバラが言う。

「そうですよ。お一人で居る時に襲われたら大変です。私もシルフィ様をお守りします」

 と、今度はリリア。

「私もシルフィアナ様が心配なので、お(そば)に居ます」

 とエルーラ嬢まで言い出した。

 うーん、学園に居る時は、それほど狙われる事もないか? もう窓が落ちてくる事はないだろうし、流石(さすが)に学園内で襲撃される事はないだろう。

 ならば、一緒に居ても問題ないか。エルーラ嬢が狙われている可能性もゼロとは言い切れないのだから。

「わかったわ。みんなありがとう。でも無理はしないでね」

 そう私がみんなに言うと、

「でも、何故狙われているのがシルフィだとわかったんだ?」

 そうカールが聞いてくる。

「えーと、実は昨日、街に買い物に出かけたのだけれど、ちょっと襲撃に合いまして……」

「なんだって?! 狙われているとわかっていて何故街に買い物になど行ったんだ?」

 と、カールには怒られてしまったが、

「私が出かけている時に襲われれば、狙いは私だとはっきりするかと思ったの……。ちゃんと護衛には付いてもらっていたから大丈夫よ」

「はー……。全くシルフィは。自分がどれだけ危険な事をしているか、わかっているのか? せめて俺たちにも声を掛けてくれれば、護衛に付くくらいしてやれたのに。無鉄砲にも程があるだろう」

 いつになく厳しい顔で、カールが言うものだから、

「ううっ、ごめんなさい……」

 と小さくなりながら、私も素直に謝ったのだった。

「まあ何かあったら、一人で決めないで俺たちも頼ってくれ。みんなシルフィを守りたいと思っているのだからな」

 そうルークが言うと、皆ウンウンと頷くのだった。




 * * *




 しばらくは学園での生活も何事もなく過ぎたが、程なくして誕生祝いの舞踏会の招待状が届いたのだった。

 いつもの王宮での報告会で、その招待状は皆の所にも届けられている事がわかった。

 差出人は、イザベラ・キール公爵令嬢。

 招待状は生徒会役員とクラス委員にも出されているようで、バーバラやリリアの所にも届いたと言っていた。

 もちろん私やエディの所にも届いたが、セニア王子とエルーラ嬢、デュカ様にも届いていて、

「随分と大掛かりな誕生祝いだな。規模的には俺の誕生祝いやセニア王子達の歓迎の舞踏会の時と同じくらいじゃないのか?」

 そうエディが言うので、

「そうですわね。まるで王家と張り合っているように見えますわ」

 私がそう言うと、

「キール公爵家の力を見せたいという事だろうな」

 とエディが言う。

 キール公爵は、まだまだキール公爵家には力があるから、縁を結ぶ事は益になると見せたいのだろうが、王家はどう思うのだろう。

 あまり力を見せつけると、それこそ王家を乗っ取ろうとしているように見えなくもない。

 その辺のことは、キール公爵はどう考えているのだろうか……。

「キール公爵の思惑は分かりかねますが、流石(さすが)に欠席はできませんわね」

 私を狙っているのが、キール公爵かも知れないと分かってはいるが、欠席は出来ない。というか、出席すれば何か動きがあるかも知れない。でも、自邸の舞踏会で何かあれば、キール公爵家の責任を問われる事になるので、さすがに何か仕掛けて来る事はないか……。


 そんな事を考えていると、バーバラがリリアに問いかけた。

「リリアさんは、またお兄様にエスコートしていただくのですか?」

「はい、兄に聞いてみないとわかりませんが、お仕事がお休みならばお願いしようと思っています」

「そう……」

 そう言ったきりバーバラは黙り込んでいる。私は、

「バーバラさんは、またお父様にお願いするのですか?」

 と聞いてみると、

「今回は一人で出席しようと思っているの。私の家の領地はとても遠いので、毎回は頼めないもの」

 というバーバラの家の領地は、我が国の北の端と言ってもいい地域だ。我が国の避暑地にもなっているが、たしかに遠い。馬車でも5日ほどかかる。舞踏会の度に呼ばれていたら、お父上もたまったものではないだろう。

「そうですか、婚約者がいない場合は一人でも大丈夫ですが、いろいろな殿方からお声がかかるかも知れませんわね」

 そう言うと、

「それはウンザリするわね」

 と、ため息をつく。

「どなたか意中の方はいらっしゃらないの? その方にお願いしてみるとか」

「あら、ではエドワード様にお願いしてもよろしいのかしら?」

「ダメに決まってるでしょう。でも貴方、本当はもうエディと結婚したいとは思っていないでしょう?」

「そ、そんな事はありませんわよ。あわよくばと思っているに決まっているじゃない。ほーほほほ」

 なんて、あらぬ方を向いて高笑いをするが、それなら私が狙われているのを心配したりしないだろう。なんだかんだ言っても、もうバーバラも私達の仲間内だ。

「誰もいなければ、俺がエスコートしてやろう」

 と言う突然の声に、皆『ええー?!』と驚いてオスカー様を見るが、

「俺は剣術の師でもあるからな、師弟ならおかしくはないだろう。それにコイツは放っておくと、何を仕出かすかわからないからな、お目付役が必要だろう」

 そう言うオスカー様に、皆驚いて声も出ないが、バーバラだけは、

「あら、それはありがたいですわ。ではよろしくお願い致しますわね、先生」

 と、あまり驚いた様子も見せない。

 私を含め、皆の頭の中は、(いつからだ? いつからオスカー様とバーバラは、そんなに親しくなったのだ?)と言う思いが駆け巡っているのだった。

 たしかに毎週、剣術の指導はしていたが、そんな色めいた話は聞いていない。バーバラならそんな事があれば「オスカー様命」みたいになってもおかしくないだろう。

 なにせ、すこぶる思い込みが激しいのだから。

 皆が呆気に取られて黙り込んでいると、エディが、

「オスカー、いいのか? その、いろいろ噂の(まと)になるかも知れないぞ」

 そう言うと、

「ああ、噂だけならかまわないさ。実際、毎週我が家に通って来る事を、いろいろ噂している奴らもいるからな。今更だろう?」

「いや、お前がいいなら何も言わないが……」

 そう言うエディは心の中で、

(本当にバーバラと結婚なんて事になったら、アンダーソン家の危機だな)

 などと思ってしまうのだった。





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