1.国王陛下からの呼び出し
大変長らくお待たせ致しました。第三章がやっと書き上がりました。なんとか年内に投稿し終えたいと思いますので、よろしくお願い致します。みなさんにこの作品を楽しんで頂けたら幸いです。
夏休みも後半に入ろうとしていた8月中旬。私達生徒会役員が国王陛下から呼び出された。
陛下直々の呼び出しなど、そうそうあるものではないので、みな戦々恐々としていたが、学園の制服で来るようにとのお達しだったので、学園で何かあったのかと、不安に思ってもいたのだった。
ちょっと小さめの謁見の間。正式な謁見の間よりは随分こじんまりしているが、生徒会役員の15名が入るには十分すぎる広さがある。
謁見の間ということは、国王陛下の正式な呼び出しだ。
「皆、夏季休暇の中ご苦労。実は二学期から留学生が来るのだが、君たち生徒会の者たちと共に活動するように頼みたい。普段の勉学は1年A組で学んでもらうことになるので、1年の生徒会役員に世話役をしてもらいたいのだが、よいかな?」
「陛下、留学生というのはどちらから来られるのですか?」
この国の王子殿下で生徒会長であるエドワード様がそう尋ねると、
「我が国の友好国であるイシュランダ王国の第1王子、セニア殿下とその婚約者であるエルーラ嬢だ。本来なら我が国の王子であるエドワードと同じ学年が良かったのだが、年齢も違うのでな。やはり同い年の者達との方が交流もしやすいだろうから、シルフィアナ、そして1年の生徒会役員は、二人のことをよろしく頼むぞ」
『はい、承知致しました』
私達1年の生徒会役員は、そう元気よく返事をしたのだった。
「では、明日にはこちらに到着する予定なので、二学期が始まる前に顔合わせをすることになるが、詳細は追って連絡する。皆、よろしく頼むぞ」
国王陛下にそう言われ、
『仰せのままに』
私達はそう言うと、恭しく頭を下げたのだった。
国王陛下の話が終わり、陛下が退室された部屋の中で、皆それぞれに小声で話していたが、
「この前の夢見草の事件で、主犯格だった異国人の国だよな? 何故こんな中途半端な時期なのだ? 普通は入学の時に来るだろう?」
そうカールが言うと、皆それを不思議には思っていたようで、
「たしかに何か理由かあるのだろうが、陛下は何も仰らなかったな」
そう、オスカー様が言う。
「主犯の王弟殿下は指名手配されていたようですから、捕まる迄は安心して留学は出来なかったと言う事ではないでしょうか。王弟殿下が捕らえられた事で、第一王子の安全が確保されたと言う事なのだと思いますが……」
私がそう言うと、
「多分、そう言う事なのだろうな。第一王子が暗殺されれば、王弟殿下の王位継承権は上がるからな。第一王子の安全を優先したのだろう」
エディがそう言うと、皆頷いたのだった。
「皆様、退室のご案内を致します」
そう王宮の女官に言われ、みな女官に着いて行くが、もう一人居た女官が、
「エドワード殿下とシルフィアナ様はお残り下さい。国王陛下からお話しがございます」
そう言われ、私とエディは顔を見合わせるのだった。
皆が退室した後、私とエディは応接室に案内された。程なく陛下がいらして、
「明日、セニア殿下とエルーラ嬢がこちらに到着する予定だが、二人の出迎えにエドワードと一緒にシルフィアナも出迎えて欲しいのだ。シルフィアナはまだ王族ではないが、あちらも婚約者を伴って来るからには、エドワードも一人というわけにはいかないのでな。エドワードの婚約者として、これからは公務を務めてもらう事も多々あると思うが、よろしく頼むぞ」
陛下にそう言われ、
「かしこまりました。不束者ではございますが、何卒よろしくお願いいたします」
そう言って、私は深く頭を下げたのだった。
「顔を上げなさい。明日は朝からこちらに来て準備をしてもらう事になる。詳細は女官長より聞くように。エドワードも一緒にな。女官長から話を聞いたら、一緒に昼食をどうだ? 最近は一緒に食事をする事も少なくなったからな、ジェニファーも喜ぶだろう」
「ありがとうございます。是非ご一緒させて頂きます」
陛下に食事に誘われ、私はそう言って微笑むのだった。
陛下が退室した後、入れ違いに女官長が来て、明日の予定を私達に話し、昼食の席に私達は案内されたのだった。
いつもはエディと二人か、お兄様とオスカー様の四人でということが多いのだが、今回の昼食は国王陛下と王妃様とご一緒だ。
公的な昼餐会とは違い内輪の昼食会ではあるが、幼い頃と違い流石に私も緊張する。
陛下と王妃様との昼食会となると、服装にも気を遣わなければならない。
今日は学園の制服だ。制服は礼装とみなされるので問題はないだろう。このこともあって制服で来るように指示されたのだろうか?
「ふぅ、ちょっと緊張するわね。昔は無邪気に一緒にお食事させて頂いていたけど、陛下達とのお食事は本当に久しぶりですものね」
隣を歩くエディに、私は小声でそう話すと、
「今更緊張する事もないさ。いつも通りにしていれば何ら問題はないだろう? 食事にしてもそれ以外にしても、君のマナーは完璧だからな」
そんな風に言われると、なんだか照れてしまう。
でも、これからはエディの婚約者として、公的な昼餐会や晩餐会に出席する事もあるだろう。
そう思うと、こんな事でびびってはいられないなと、そう思うのであった。
お読みいただき、ありがとうございます。
今回は1部と2部を一緒に投稿致します。
今までと同じくらいの長さになると思いますので、サクッと読んでいただけたら嬉しいです。
また、最後までお付き合い頂けたなら幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。




