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転生アラサー警察官、王子殿下を守ります!  作者: 音威ジュン
第一章 暗殺編
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11.作戦会議

 昨日、エドワード殿下に話した通り、オスカー様、エミリー、カール、エドワード殿下がウィンスター家にやって来た。

 使用人たちにはお茶会と言っておいたので、お茶とお菓子の用意をしてもらい、使用人たちには皆部屋の外で待機(たいき)してもらうようにした。


 六人になったところで、私は昨日バルコニーで聞いた話をした。

 そして髪飾りを落としてしまい、素知らぬ振りをしてそれを拾いにバルコニーの下に行ったが、さすがに誰が居たかは確認出来なかったことと、私の顔は見られていると思うので、話を聞かれた可能性があると思われているかも知れない事を話した。


「髪飾りを拾いに行ったって?まったくなんて無茶をするんだ」

 とまたエドワード殿下に怒られた。

「うっ、」

 と口ごもりながら、

「だって、髪飾りを落としてそのまま立ち去ったら、話を聞いていましたって言っているようなものじゃないですか……」

 ゴニョゴニョとそう言うと、

「髪飾りだけじゃ誰だかわからないだろう、ただでさえ君も狙われているのに危険を増やすこともないだろうに」

 とエドワード殿下に溜息(ためいき)をつかれ、そういえばそうだったと思い出す。

「では、エドワード様と私を狙う者は別にいるということですわね」

 私がそう言うと、エミリーが、

「ちょっと待って。シルフィが狙われているってどういうこと?」

 と言い、

「バルコニーの件以外にも何かあったのか?」

 とカールにも聞かれた。

 私は階段落ちの事故は、何者かに突き落とされたのだと話した。

 そういえばエドワード殿下もそのことを知っていたのだと不思議(ふしぎ)に思い、

「そういえばエドワード様は何故(なぜ)私が狙われていることをご存知なのですか?」

 と(たず)ねると、

 あの日お兄様とオスカー様が扉の前から離れることになった経緯(けいい)を話してくれた。そして皆で階段を調べている時に、私に敵意を向ける視線を感じたと言っていた。

 その視線は私も感じていたが、私とエドワード殿下が同時に狙われるのは、偶然(ぐうぜん)なのかそれとも必然(ひつぜん)なのか……。

 お兄様とオスカー様は(だま)って考えこんでいる。

「俺が一人で居れば、敵は接触(せっしょく)してくるんじゃないか?」

 そうエドワード殿下が言うので、

馬鹿(ばか)なことを言わないで下さい。エドワード様に何かあったらどうするのですか。ご自分の立場をもう少し自覚して下さい」

 と今度は私が怒ったら

「うっ……、わかった……。すまなかった」

 と案外(あんがい)素直に引き下がったのだった。


 今のところ敵の情報は無いに等しい。なので出来ることは限られている。私は、

「学園ではお兄様とオスカー様がいつも一緒なのですよね?ならそれほど心配はないと思いますが、王宮の中はどうでしょうか?王宮も警備(けいび)厳重(げんじゅう)ですが、私の時の事もありますから内通者(ないつうしゃ)が居る可能性もありますよね……」

「そうだな、王宮内に敵の協力者がいればエディを拉致(らち)することも可能かも知れない。だがリスクがありすぎないか?狙うなら通学途中か何処(どこ)かに出かけている時の方がやりやすいだろう」

 と、お兄様が言うと

「通学と出かける時は、今より護衛(ごえい)を増やした方が良さそうだな」

 と、オスカー様も言う。

 結局、エドワード殿下の護衛(ごえい)を増やすくらいしか、今のところ手がないのである。

 犯人を(つか)まえるなら、エドワード殿下が言うように、一人でいるところを(おそ)ってもらうのが手っ取り早いが、さすがにこの国の王子殿下に(おとり)になってもらうわけにはいかない。

 さっきのエドワード殿下の発言もあって、私はちょっと心配になって、

「エドワード様、どこかに出かける時は私もご一緒します。必ず私を連れて行って下さい」

 と殿下の目を見つめ真剣(しんけん)な顔で言うと、殿下はちょっと戸惑(とまど)った顔で、

「シルフィ、君を危険に巻き込むわけにはいかない」

 と言う。

「普通に護衛(ごえい)も居るところで、敵に(おそ)われることはそうないと思いますが、もしもの時は私がエドワード様をお守りいたしますわ」

「いやいや、俺と一緒に君も狙われる可能性の方が高いだろう」

「あら、大丈夫ですわ。私が一人で出かけるより、エドワード様と一緒の方が護衛(ごえい)もたくさんいますから安心です」

 と言い切ると、

「まあ、シルフィのことは俺が守るから、君がいいなら俺は(かま)わないが……」

 と言いながら顔を()らすが、何故(なぜ)か耳が赤い。

(あれ?私、何か変なこと言ったかな?)

 そう思っているとエミリーが

「愛だわ」

 と(つぶや)き、何故(なぜ)かお兄様も

「愛だな」

 とか(つぶや)いている。

 私は元警察官の習性として、危険が迫っている人を放っておけないというのもあるが、犯人が(おそ)ってきたら自分の手で(つか)まえたかったのだ。

「昨日の今日で、敵もすぐには動かないだろうから、少し様子をみるしかないな」

 と言うオスカー様の言葉に皆(うなず)くしかなかった。



 エドワードは舞踏会の夜、シルフィがバルコニーで髪飾りを拾いに何者かの所に行ったことは知らなかった。

 それを聞いた時、もしその時に何かされていたり、(さら)われたりしていたらと思うとゾッとした。

 最近のシルフィは、エドワードにも積極的(せっきょくてき)に関わってくるが、危険なことにも首を突っ込んで行くのでとても心配だ。

 そんなシルフィが、エドワードが出かける時は、必ず自分を(さそ)って欲しいと言い出した。エドワードを心配しての事だと思うが、エドワードが(おそ)われればシルフィだって危険にさらされる。

「シルフィを危険に巻き込むわけにはいかない」

 と言うと、もしもの時にはシルフィがエドワードを守ると言い出した。

 まったくその自信は何処(どこ)からくるのか。

 まあ、シルフィのことは自分が守るから問題ないだろうと思うが、シルフィがエドワードといつも一緒に出かけたいと言い出したことに、何だか(うれ)しくて顔が赤くなるのだった。

読んでいただいて、ありがとうございます。

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