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2nd スタート  作者: 夏冬
3/3

引退試合は、お互いに点の取り合いで良い試合だった。しかし俺は、3打数1安打と全然打てていなかった。

試合結果は引退試合のため、勝敗は付けず得点は出さないようにしていた。

試合が終わると3年全員が泣いている。

俺は打てなかった悔しさ、そしてなにより高校野球が終わるという事を実感しての悲しさで泣いていた。


3年はグラウンドの外に行き写真撮影があった。

それが終わると解散だ。解散と言っても皆友達や親と写真を撮っていた。

俺は、結が見えた。結はこっちに気づくと手を振っている。

俺は結の方へと行った。

俺と結は皆から離れた人目につかない所に移動した。


「尚輝君、今日のあのガッツポーズはかっこいかったよ!」


結が照れくさそうに言う。

俺はその顔をみると、嬉しい気持ちよりもなぜか俺も照れてしまった。


「あ……ありがとう……」


俺がそう答えると結はわらってくれた。


「あっ……でもあんなに尚輝君が泣くとは思ってなかったかな?」


結はそう言って微笑むと、俺に動画を見してくる。

その動画は俺が監督の話しを聞いて泣いているというものだった。

俺は顔が赤くなっていくのがわかって、恥ずかしくなった。


「そんなんとってたのかよ!」


「だって、尚輝君のこと撮るっていったじゃん!」


「でも、……それは恥ずかしいというか……」


「誰にも見せないよ」


結は笑顔でそう言うとこっちに近寄ってくる。


「2人のツーショット写真撮らない?」


「いいけど……」


俺は近づいてきた結に照れながらも、結が写真を撮ろうとしているスマホの方を向く。

そろそろ、皆が帰り始めたので俺らも帰ることにした。


家に着くと応援に来ていた母さんが先に帰っており、父さんに今日の俺の報告をしているようで2人で盛り上がっていた。

俺は家に着くとすぐに風呂に入り、夕食を食べた。

部屋に入るとLIMEの確認をする。結からのLIMEはまだ来ていなかった。

それから1時間ほど漫画を読んだりして待っていたがLIMEは来なかった。『今日はこないか……』そんなことを俺は考えて、寝ようとしていた。

すると、スマホがなった。

俺はすぐに開いてLIMEを見る、すると結から動画が届いていた。


「今日の写真を使って動画を作ってみたよ(*-∀-*)」


俺は動画を見ると、嬉しくて頬が緩んでいた。


「ありがとう!」


「喜んだ?(。-∀-)ニヤリ」


「嬉しかったよ」


「ならよかった!」


「ほんとうにありがとね!」


俺は結にお礼を言うと動画を見ながら寝ていた……




7月になり、夏の大会が始まった。

地区予選は順調に勝ち上がっていき県大会出場を決める。

県大会も順調に進んでいき俺達は、ベスト8まで行くことが出来た。 準々決勝では、私立の強豪校との試合だ。

俺はスタンドで皆と一緒に声が枯れるまで応援をした。

しかし、結果は7対3で俺達は負けた。

試合が終わると3年は静かになった。泣いている奴は居らず皆が高校野球が終わったと実感出来ずにいた。

試合が終わり学校につくと、3年は集合して、監督からの挨拶があった。その後に、俺達3年は、ここまで応援してくれた保護者に一人一人が挨拶をする。

皆がここで「高校野球は終わったけど」と言っていた。

これを聞き俺は、本当に高校野球が終わったのだと実感した……。周りを見るとみんなが泣いていた。そして、俺も泣いていた。


帰りは母親と車で帰っていた。

車の中でLIMEを開く、結からLIMEきていない。

俺は、結に試合の結果を報告する。

家に着く頃に結から、返信がきた。


「お疲れ様!応援頑張ってたね!」


「見に来てたの?」


「うん!内緒でまいと一緒にいったよ!」


「そーだったんだ」


俺は、結が来ていたと知って驚いた。

次の日、クラスに入るとクラスの皆がが「野球部おつかれ!」と言ってくれて嬉しいけど、負けて高校野球が終わったと実感して、寂しい気持ちもあり、複雑な気持ちになった。

そんな気持でいると後から、まいと結が声をかけてきた。


「「おはよー」」


「おはよ」


「応援で声枯れてるね!」


「尚輝、喉大丈夫?」


結はそう言うとのど飴を俺にくれた。


「ありがとう」


「どういたしまして!」


結は笑顔でそう言うとチャイムが鳴ったので席に戻る。

俺の野球三昧の青春は終わり、学校生活が面白く無く、ずる休みをしようかと何度も考えた。いや正直に言うと何回かずる休みをした。

しかし、最近は結と学校でも話すようになったためかずる休みはしなくなった。

結と話をすると、俺は時間を忘れて話すことができとても落ち着く。


気づけば俺は、結と会いたいから学校に行くようになり、そして俺は、結が好きになっていた。


結が好きだと気づくと、余計に好きと言う気持ちが強まり、結に告白をすることを決める。


俺は土曜日に、お互いが「見たい!」と言っていた映画を、一緒に見に行こうと結を誘った。

結からは「いいよ!」と返事をもらいデートをする事になった。


土曜日。

俺は、待ち合わせ場所に30分前に着くと既に結も来ていた。


「早かったね。まった?」


「私も今さっき着いたとこ!」


結は笑顔でそう言う映画館へと歩き出した。

俺は、先に歩き出した結の私服姿に見とれていた。


映画館につくと、お互いにポップコーンとジュースを買い席に座る。

座ると俺達は小声で会話をした。


「映画たのしみだね!」


「うん!」


「男子と映画見るのはじめて!」


結の一言を聞いて俺はドキッとした。

顔が赤くなってないか心配だったが照れながらも会話をする。


「……俺も女の子と見るの初めてだよ」


「そっか……………………」


映画が始まったせいで、結が何か言っていたが俺は聞き取ることが出来なかった。


映画は、恋愛もので最後がせつなかったがとても良かった。


「……いい映画だったね」


そう言う結をみると泣いていていたので驚いた。


「感動したね!」


「……うん」


結が落ち着いたら俺達は映画館を出て買い物をした。

お互いの服を見て回ったり、雑貨を見たり、食事をしたりとても楽しい時間だった。

あっという間に時間がたっていき気づけば5時をまわっていた。

俺達はフードコートの椅子に座って休憩していた。


「朝から歩いて、流石に歩き疲れたね……」


「そう?」


「……尚輝君はすごいね……

まだ見て回りたいなー」


「なら、また来ようよ!」


俺がそう言うと結は驚いた顔をしてでこっちを見ていた。


「……いいの?

今日も私についてくるだけだったけど……」


「結と一緒に居ると楽しいから……」


「…………ありがとう……」


俺は少し照れながらいうと、結もそれを聞いて顔を赤くしていた。

その顔をみたら可愛いと思い、告白をした。


「あのさ、よかったら、俺と付き合ってよ」


「え!?」


結は、驚いて固まっていた。


「ごめん!急に!」


俺は「やばい終わった」と思い謝り結の顔を見る、すると結は顔を赤くしていた。

結と目が合うと結が返事をしてくれた。


「私でいいの?」


「結がいいよ」


結は顔を赤くして、下を向く。


「…………なら、お願いします」


俺は返事を聞くと、嬉しくなりにやけてしまい、結はその顔をみて笑っていた。

俺達は、椅子から立ち上がるともう少し歩いて回ることにした。

俺は結の手を握る。結も握り返してくれた。


俺と結の恋はここから始まり、俺の青春は2ndスタートをする。

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