生と死
赤く熱く燃えていた空が急速に冷え
海のように深い群青の天に一番星が輝き
私の前を歩く人たちは
ひとり、またひとり
静かに消えていった
さびれた街の古い街道から
冬の匂いのする路地や
乾いた風が吹く竹藪の小径や
冷たい石垣に挟まれた細い道へ
誰もがひとりきりで
そっと静かに消えていった
遠い潮騒の聞こえる、薄闇の中へ
――――――――――――――――――――――――
たそがれどき……逢魔が時……生と死が連綿とつながっていることを予感させる時刻。私たちは闇から生まれ、闇へと還ってゆく。薄暗闇の中で耳を澄ませば、潮騒のリフレインが聞こえるかもしれません。