3話
西原からの突然の電話で目が覚めたむつは、寝直そうと寝返りを打ったがなかなか寝付けそうになかった。何時だろうと携帯を見たが、まだ日付が変わってからそんなに時間も経っていなかった。
携帯を見たついでに、メールの返信があった事に気付いたむつは、内容を確認した。颯介、祐斗、山上からのメールは後回しにし、冬四郎からのメールを呼んだ。そっけない文字だけの文章ではあったが、冬四郎の口調を思い出しながら読むと、何だかほっと出来た。そして、やはり早く家に帰りたいと思った。
メールの届いた時間を見て、今の時刻を確認したむつは、いつもならしないはずの行動に出た。出ないかもしれないと思いながらも、冬四郎に電話をかけたのだった。
コール音だけが聞こえ、冬四郎の出る気配はない。少し残念だが、むつは電話を切ると枕元に携帯を置いて枕に抱きつくように顔を埋めた。使い慣れていない枕からは、まだ何の匂いもしない。顔を横に向け、携帯の暗い画面を見ていると急に携帯が振動した。画面には冬四郎の名前が出ている。着信に気付いて、すぐに折り返してくれたのだと分かると嬉しかった。
「しろーちゃん?」
すぐに出たむつは、少しの音も聞き逃さないようにと、耳に携帯を押し付けていた。




