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3話
「って、え?」
「どうした?」
完全に冷めている卵焼きを箸で切って、大根おろしを乗せた冬四郎が首を傾げている。
「いや、どうしたじゃないですよ。どういう事ですか?むつはどこに居るんですか?」
「だから、朋枝学園に入り込んでるって言ってるだろ?」
「入り込んでる?」
「あぁ、学生としてな。転入生って事で飼料でっちあげて貰って、俺が保護者として転入初日は付き添ったからな」
「制服姿、可愛かったなぁ。今頃は下級生から人気でも出てるかもな」
けらけらと山上が笑うと、冬四郎は眉間にシワを寄せて、砂でも噛むかのように卵焼きを食べていた。西原も眉間にシワを寄せていたが、それは何かを考えているような顔だった。
「西原?」
「学生として入り込んで調べてるんですね?むつが…あのばか」
西原は舌打ちをしてタバコに手を伸ばした。西原の不機嫌そうな様子に冬四郎と山上が不思議そうな顔をしていた。
「…そういや、お前の管轄だろ?」
「えぇ。そうです…最近は学園内の捜査から外の捜査に回ってて知りませんでした」




