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11話
むつが少年と男を追うようにして、道路に出た。人通りが少ないとは言えど、大きな通りで交通量はある。それなのに、左右の確認もせずにガードレールを飛び越えたむつを冬四朗が慌てて追った。冬四朗は腕を伸ばしてむつの手を取ると、勢いよく引っ張りながら後ろに倒れた。
がつんっと鈍い音とむつの目の前を車が通り過ぎるのは、同時くらいだった。
「宮前さん‼大丈夫ですか?」
ガードレールを乗り越えてきた西原が、冬四朗の顔を覗きこんだ。むつは再び、少年と男を追って行こうとしたが、その前に冬四朗がしっかりと腰に手を回していたので、立ち上がれなかった。冬四朗の手を引き剥がそうとしていたむつだったが、出来ないと分かると諦めたのか大人しくなった。だが、視線はずっと少年と男の方に向いていた。




