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11話
ぎゅっとピアスを握った玲子は、嬉しそうな顔をしている。それを見て、むつも嬉しそうに微笑んだ。
「さ、もう少し眠りな」
むつが出ていってしまうのだと分かると、玲子は咄嗟に手を伸ばしてむつのジャケットを掴んだ。
「あ、あの…えっと…」
ジャケットを掴んで、引き止めたもののどうしたらいいのか分からず、玲子がおろおろとしていると、むつは再びベッドに座った。そして、ジャケットを掴んでいる手をそっと取った。
「寝付くまで居るよ…ほら、横になりな」
そう言い、玲子に横になるように促した。そして、布団を肩の辺りまで引っ張った。
「大丈夫。もう怖い夢も見る事はない。ゆっくりと身体を休めなさい…何かあれば、わたしが駆け付けるよ」
少し低いが優しい声でむつは言い、玲子の頭を撫でた。玲子は、ほっと息をつくと心地よさそうに頭を撫でられていた。




