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11話
「これ…もういらないかな?」
むつは玲子の手を取ると、その手のひらの上に蝶のついているピアスを乗せた。
「あの、これ…」
「無くしたでしょ?ほら、妹になってリボンの所にチャームみたいにピアスつけてたけど、あのどさくさで」
「知ってたんですか?」
「勿論。だから、これで…」
髪の毛を持ち上げて、むつは耳を見せた。そこには、玲子の手のひらの上にある物と同じピアスがついている。
「そのうち、玲子も開けたら良い。その時にはまた違うのをちゃんとプレゼントするけどさ…いらない?」
「い、いえ‼いります‼」
「良かった。退院したらメール頂戴ね。学園には顔出さないかもしれないけど…お菓子送ってあげるわ」




