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11話
玲子が起き上がろうとすると、むつは背中を手で支えるようにして手伝った。起き上がった玲子は、むつの後ろに西原が居る事に気付くと、軽く会釈した。
「気が付いて良かった。昨日…っていうか朝方までの事は、覚えてる?」
微笑みを浮かべながらも、余計な事を話さずにむつは聞きたい事をすぐに切り出した。玲子は記憶をたどるように、少し首を傾げた。
「えっと…床下にシスターが居た事までは」
「その後の事は?」
「全く覚えてないです…何があったんですか?というより、ここはどこですか?」
「ここはね、警察病院だよ。玲子はね、床下から飛び出してきたシスターとぶつかって床で頭を打ったんだと思う。気を失ってたから」
「え…そうだったんですか?ごめんなさい。先輩の手助けになればって思ってたのに…結局はご迷惑をお掛けして」
しょんぼりとうなだれる玲子の頭を、ぽんぽんとむつは撫でた。




