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11話
「お前…それは流石に」
西原が止める前にむつはもう1度、玲子の額をぺちんっと叩いた。軽く叩いてはいても、叩き方のせいなのか、良い音がした。
3回目を叩こうと、むつが額の上に手を持っていくと玲子は、眉を寄せるようにしてゆっくりと目を開けた。
「ほらね」
威張るように、むつは西原を振り返った。玲子が目を覚ました事は、西原も嬉しく思うが、むつのやり方には賛成出来なかった。
「おはよう」
玲子はしかめっ面をしていたが、すぐ目の前にある顔がむつだと分かると、忙しなく瞬きをした。
きちんと焦点のあっている視線を受け、むつは安心したように、そして嬉しそうに微笑んだ。
「む、むつ先輩」
「うん、もう先輩じゃないけどね。体調とかはどう?何ともない?」




