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10話
「粗方、片付いたかな」
はぁはぁと肩で息をしながら、むつは刀を鞘にしまった。天使は全滅したし、向かってくる黒い霧もほとんどむつが斬り伏せたせいか、残っている物は近寄ろうともしてこない。ただ、ふよふよと辺りを漂っている。
「むつ、大丈夫か?」
「え?へーきへーき」
声は明るいが、その表情はどことなく冴えない。心配させまいと無理をしているのが、ありありと分かる。
「あの子も泣き止んだのかな」
むつは泣きじゃくっていた少年の方を見た。まだ、完全に泣き止んでいないようで、男に慰められるようにして背中を撫でて貰ってた。むつは、何となく面白くなさそうに、目を細めてそれを見ていた。
むつと西原の視線に気付いたのか、少年と男が2人の方を見た。




