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10話
霧状態で斬っても手応えを感じる事はなかったが、ばっさりと真っ二つに別れた霧は、さらさらと消えていった。
「あ、ありがとう」
「うん…」
むつは刀身を眺め、消えていった霧状の物が居た辺りを見ていた。だが、こくこくと浅く頷くとぱちんっと鞘に刀を納めた。
「たぶん…人魂だ」
「人魂?あの少年のですか?」
「じゃなくて。あの少年が人魂を体内に貯めているのかも…何かこう、いやーな感じの人魂だった」
「怨霊みたいなやつですか?」
「そこまでいかなくても…自縛されてる物だったり、何か色々じゃないかな?悪い事をしてきた人のとか」
「…それなら、何とか対処出来ますね。むつさんなら」
ノアがほっこりしたような笑みを浮かべて、むつに丸投げの姿勢を見せた。菜々とダリィもそう聞くと、ほっとしたようだった。だが、むつは眉間にシワを寄せていた。
 




