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10話
「変な事に巻き込んでごめんね」
菜々が呟くように謝ると、むつはきょとんとした顔をして、菜々の顔をまじまじと見た。
「むつも先輩も大怪我してるし。何か死にそうなくらい危ないし」
「うーん…ま、昔からそうだよね。一緒に居ると何でか危ない事になるよね」
むつはくすくすと笑った。
「菜々のせいじゃないから気にしないの」
むつがぐしゃぐしゃと菜々の頭を撫でて、天使に背中を向けていると今のうちだと思ったのか、猛然と天使がむつに向かってきた。
だが、背中を向けているからと油断をしているわけでもないむつは、菜々の小さな悲鳴を聞き、振り向きざまに刀を抜いて、可愛らしい顔を真っ二つにした。




