よろず屋-百合の衆-

１０話

「誰が狙われるかしら」

「そりゃお前だろ。肉多いしな」

「肉より脂だよ？」

「そうそう、焼かないと美味しくないやつ」

菜々が会話に加わると、くっと西原が笑うとむつも少し笑った。２人が振り向くと菜々は、強張った表情を浮かべていた。

「よくそんな事、言う余裕あるよね」

「開き直るしかないじゃない」

菜々はつんっと顎を反らした。冷や汗でもかいているのか、首筋に髪の毛が何本かまとわりついている。むつがそれを取って、後ろに流してやると菜々は、溜め息をついた。