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10話
西原と菜々のひそひそとした話声を咎めるように、シスターがじろりと睨んだ。いよいよ始まるのかと、西原と菜々は何となく姿勢を只して黙った。
むつはそっと顔を上げて、2人の様子を見て口元に笑みを浮かべたまま、また目を閉じた。
それに気付かないシスターは、魔方陣の前でおもむろに両手を広げると、聞き取れないほど小さな声で、ぶつぶつと何かを言い始めた。
ついに始まったのだと、薄目を開けてシスターの様子を伺っていたむつは緊張した。西原と菜々、ダリィも異様な緊張を感じているのか、黙ったままシスターをじっと見ている。そろっと顔を動かし、辺りを見てみると天使たちは思い思いの場所に止まり、にやにやとした笑みを浮かべているだけだった。




