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10話
西原と菜々、ダリィは何かあった時にすぐ動けるようにと祭壇に近いベンチに移動していた。そこからだと、描かれた魔方陣も横たえてある生徒や玲子もしっかりと見えた。勿論、むつが大きな欠伸を2回もしたのも、ばっちり見えていた。
「暢気すぎないか、あいつ」
「ねぇ…危機感とか持ち合わせてないのかしら?昔はあんなんじゃなかったはずなのに」
西原と菜々は、揃って呆れたような溜め息をついた。ダリィだけが、むつの様子を不思議そうに見ていた。
「ねぇ…それよりは、何でむつは大丈夫だって言い切ってるの?何もおきないって」
「さぁな。何か分かった事があるんだろ。あいつの秘密主義は今に始まった事じゃない」
「そうだけど…ねぇ、ダリィ?本当に大丈夫だと思う?」
急に話を振られたダリィは、驚いたように目を丸くしていた。そして、首を傾げるようにぎこちなく頷いた。




