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10話
西原もシスターに気付くと、きゅっと目を細め睨むようにみつめた。だが、シスターはそんな視線には気にもとめず、むつの前まで来ると深々と頭を下げた。
「器となっていただきます」
「分かった」
むつは気軽な感じで言った。シスターもむつが否とは言わない事に、ほっとしたのか祭壇の方に手を指した。むつが頷くと、シスターは先に歩き出した。
「行ってくるねぇ」
ひらひらとむつは西原に手を振った。その際に、手にしていた日本刀を西原に預けた。そして、菜々の所に行くとにっこりと笑ってみせた。菜々はむつの笑顔を見ても、顔色は変わらずに青白い。
「大丈夫。菜々は心配せずに待ってて…もうちょいで片付くからさ」
「けど、むつ…」
「幼馴染みを信じなよ。そんなアテにならない奴に仕事を依頼したわけじゃないでしょ?」
「それは…そうだけど」
くっとむつは笑った。声を上げて笑うむつを菜々は、じっと見てそれからほんのりと笑みを浮かべてみせた。
「大丈夫なんだよ。何も起きないから…」
むつはそう悲しげに言うと、菜々とダリィに手を振って祭壇の方に歩き出した。




