2話
むつと之夫の堅苦しい会話を呆れた顔して聞いている菜々は、ふるふると首を横に振った。
「2人とも…何か腹の探り合いみたいな事しないの。それより、話をすすめるよ?そうじゃなきゃ、むつもパパも楽しく呑めないでしょ?」
菜々がそう言うと、之夫は頷いた。之夫が話すのではなく、本題は菜々が話す事にしているようだ。
「そうね…では、お話を伺わせて頂きます」
むつはグラスをテーブルに置くと、背筋を伸ばして菜々の方を見た。その真剣な顔つきに、菜々は少しだけ恥ずかしそうな表情を見せた。
「…はいはい。段取りがついたっていうのはね、むつを臨時講師として入れたかったって話たよね?けど、欠員居ないからさ…学生として入り込んで」
「……はぁぁ?」
むつは、うんうんと頷いていたが、少し言われた事を理解するのに時間がかかったのか驚いたような顔をしていた。
「だって、他にないもん。それに、うちの学園の制服可愛いって昔言ってたでしょ?着るチャンスよ」
「いや…?言った…言いました。けど、けどよ。ちょっと待ってくださいよ、おじ様。無理ですよ、年齢的に考えてくださいよ。三十路が学生の中に制服着て入り込むなんて無理ですよ。厳しいにも程がありますよ」
むつが何度も無理と言うのを、之夫はにこにこしながら聞いていた。無理と言われるよりも、むつが驚いて動揺してるのが面白い様子だった。




