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9話
西原の所に行くように言われた菜々だったが、むつのそばを離れようとはせずに背中にぴったりとくっついていた。
「見ない方が良いよ?」
むつが拾い上げたものを菜々が覗くように見ると、見ない方が良いと言いつつもむつをそれを持ち上げて、肩越しに菜々に見せた。
「うえっ…何で見せたのさ」
「見たそうにしてるから」
菜々がまた背中に隠れるようにして顔を引っ込めると、むつは苦笑いを浮かべた。むつが拾い上げたて、手にしているのは、かさかさに乾いたシスターの腕だった。
血も肉もなく、皮膚と骨だけのミイラのような腕だった。むつが、ぐっと切り落とした腕を握るとめきっと音を立てて折れた。




