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2話
『仕事終わってからじゃないと出れないから…19時とかどう?』
「ん、大丈夫だよ。場所は?」
むつはメモを取りながら、頷いている。そして、ついでのように少し話をして電話を切った。そして、立ち上がるとキッチンから保冷剤を取ってきてハンドタオルに包んで目を冷やし始めた。
「結局、必要になったんだね」
「菜々が仕事終わってから話聞く事になったから。一応やっておかないとね」
むつはメモした紙を携帯のケースに挟んで、椅子にもたれると上を向いて目を冷やしている。だが、置いたばかりの携帯が大音量で着信音を響かせるとむつは慌てて手に取った。
「はいはい?」
『あ、ごめん言うの忘れてたんだけど…お兄さん連れて来れるかな?無理なら、むつの方から後で話すでも良いんだけど』
「しろーちゃん?」
『そうそう、とりあえず聞いていてみて。ま、どのお兄さんでも良いけどさ』
「分かった、はーい」
電話を切ると、むつは携帯をマナーモードにして再び机に置いた。そして、はぁーっと溜め息をついて一応メールをしておいた。




