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９話

中をじっと見ていた玲子だったが、中から飛び出してきた何かにどんっと押し倒された。ごんっと床に頭を打つ音がした。あまりにも突然な事にむつも西原も反応、出来なかった。

玲子の手から落ちた蝋燭が、ころころと床を転がりながら辺りをほんのりと照らしている。

「…何だ？」

むつと西原は何が玲子を押し倒したのか、すぐには分からなかった。押し倒された玲子も突然すぎたからか、声をあげるどころかすぐに起き上がろうともしない。西原と玲子が動けずにいるにも関わらず、むつは玲子に覆い被さってる物をどかそうとすぐに動いた。だが、むつが手を伸ばすとそれは玲子を引きずって、素早くドアの前まで移動した。

「えっ？」

「むつ、下がれ‼」

西原に呼ばれたがむつは、咄嗟に動けなかった。玲子を引きずって移動した何かにどんっと突き飛ばされ、よろけた。