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2話
着替えを済ませ、軽く化粧をして髪の毛もいつも通り三つ編みにして出てきたむつは、デスクに戻ると携帯を充電器に差した。
「あ、颯介さん。ココアありがと」
「うん。保冷剤もいる?」
「…保冷剤?」
颯介は笑いながら、目元を指差した。
「赤い?」
「ちょっとね」
「今日は出る予定ないし…良いよ」
むつは照れたように言うと、パソコンを立ち上げた。そして、ついでのように充電器に差したばかりの携帯の電源も入れた。
「菜々は折り返すように以外に何か言ってた?」
「いや、特には何も言ってなかったけど。心配はしてたんじゃないかな?」
「そっか…ありがと」
携帯の画面がつくと、むつはすぐに着信履歴の確認をした。4件も菜々からの着信があった。むつは充電器を差したまま、菜々に折り返しの電話を入れた。仕事中だから、出ないだろうと思っていたが意外にも菜々はすぐに出た。
『むつーっ‼』
 




