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9話
「それに西原さん1人で行かせるのは危険すぎますよ。たいしてっ…」
何かを言いかけて、玲子ははっとしたように口を閉じた。たいしての続きを想像したむつは、にやりと笑った。
「役に立たない?」
むつが引き継いで言うと、玲子は申し訳なさそうに西原の方をちらっと見た。西原は、むっとした顔をしたが確かに、むつみたいな力はないし怪我もしている。と、なればたいして役には立たない事は重々承知していた。
「まぁ…そのとにかく、みんなで行動した方が良くないですか?」
「けど、ダリィはともかく。菜々と生徒を放置しておくのはなぁ…玲子、先輩と行く?」
向かってきた天使の頭をがしっと掴んだむつは、ばしんっと床に叩き付けた。余程の力が加わったのか、くったりとして天使は動かなくなった。
「嫌です」
「はっきり言いすぎだ」
「うん、さすがにちょっと可哀想。オブラートに包んであげてくれる?」
 




