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9話
「…下っ端に用はないんだけど?」
むつがそう言うと、少女はぎりっと歯軋りをした。隣で聞いていた西原が、ぎょっとしていたがむつは飄々とした表情を浮かべている。
「そんな状態でよく偉そうな事言ってられるわよね?状況も分かってる?」
「状態?そんなの気にして貰う必要。状況は、よく分かんないかなぁ」
にやにやとむつは、笑っている。それが余計にムカついたのか、少女はちっと舌打ちをした。
「淑女が舌打ちなんてするもんじゃないよ」
むつが人差し指を顔の横で振りながら言うと、少女は眉間にシワを寄せた。そして、じっと何かを伺うようにむつを見ていた。だが、むつはそんな視線など気にしもしていない様子だった。
「状態は自分が1番分かってるわよね?だから、状況は教えてあげるわ」
「あら、ご丁寧にどーも」
ふんっと鼻で笑ったむつは、相手を見下すかのように、少し顎を反らして少女を見ている。




