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9話
むつは、何の警戒もないように自然体で天使の間を通り教会の中に入った。すると、祭壇の辺りから順々に淡い光が灯っていくのが見えた。
「…大層なお出迎えだな。歓迎か?」
最後尾のベンチに生徒を寝かせた西原は、灯っていく光を見ながら呟いた。それは、教会の中を囲むように立てられた大小の太い蝋燭についていく火だった。誰かが、つけて歩いてるではなく、勝手に炎が立ち上っている。
「凄いね」
むつは心底感心したように言っている。菜々も玲子も淡い炎に照らされている教会内の、荘厳さと幻想的な雰囲気にみいっている。
「こんな事、出来るんだ。やり方、教えて欲しいくらいだよ…ねぇ?」
祭壇の前には、いつの間にか姿を現した制服姿の少女が立っていた。その横には、にこにこと微笑んでいる天使が寄り添うようにして、ゆったりと飛び回っている。




