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9話
「あっ、むーつー‼」
菜々の声が聞こえ、むつはぶんぶんと大きく手を振った。久しぶりに会う友達のような感覚だった。むつは、とことこと歩いていくと、ずぼっと烏の集団に突っ込んでいった。ぎゃあぎゃあと鳴いて、天使を威嚇するのに忙しいのか、むつが来ているにも気付かず、ばしばしとぶつかった。
「いてて…あ、ごめん」
べしっとぶつかった烏をむつは両手で、拾いあげたがすでにその烏は、首から下しかなかった。むつは、そっと持ち上げると炎で包んで骨も残らない程に燃やし尽くした。手のひらから、さらさらと灰がこぼれていく。
「数を減らそう作戦は…失敗か?烏たちの方が減っちゃってるみたいね」
「むつ…?」




