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9話
肩に乗っている人形は、暢気にも頬杖をついて、肩から落ちている足をぱたぱたと動かしている。
「先輩、邪魔しないで」
「ごめん、ごめん…いやぁ若い子の能力が開花していくのって良いよね」
「もぅ黙って。集中出来ない」
怒られた人形は黙り、足を動かすのも止めた。肩によじ登ると、あぐらをかいて座り、玲子をじっと見守っていた。
「あっち…」
玲子がじっと見ている方を、人形も黙って見ている。そして、ぺちぺちと頬をぺらぺらの手で叩いた。
「分かったら走れ。あたしを落とすなよ」
「なら、掴まってて」
玲子は空を見上げながら、がさがさと真っ暗な林の中に入っていく。さすがに、その行動力に驚いたのか、人形が落とされないように肩にぎゅっとしがみついた。
「まぁじかよ…」
「直線のが近いでしょ?」




