511/718
9話
髪の毛が燃えて、ぢりぢりになった。あっという間に身体全体に回った炎で、肉がただれていった。そして、隅のようになるとぼろぼろと崩れ落ちた。オレンジ色の炎がむつの顔を照らし、影を作った。その顔は、悲しみを堪えるように無表情だった。
玲子はそんなむつの顔を見て、呆然としていた。だが、むつが玲子の手から引ったくるように刀を取ると我に返ったようだった。
「ある程度したよ」
「あ、はいっ‼」
天使たちが、仲間の惨たらしい姿を見てむつから距離を置くように、少し離れている。その隙に、むつと玲子は菜々たちを追うように走り出した。
「気を取られてた…居ない」
悔しそうにむつが呟いた。玲子は何の事か分からなかったが、つい先程までいたダリィと瓜二つの少女が居なくなっている。




